もしスマホを持ったまま江戸時代にタイムスリップできるなら、あなたなら何をしますか?私なら、すぐに仲間を作り、東京の蔵前と大阪堂島のコメ相場に潜り込むでしょうね。
2つの取引所で出ている値段を連絡し合い、高い方を売って安い方を買えば、取引所間アービトラージの出来上がり。価格変動リスク無しに永遠に利益が出続けます。夢のようですね!
あ、江戸時代は通信回線がないからスマホが通じないとかは無しにして、あくまで頭の体操です。
現実にコメ相場では、当時から他の参加者よりも早く情報を得て利益を得るために、早馬を立てたり手旗信号を使ったり、様々な手段が講じられていました。なぜならスピード=利益だからです。
この考え方は現在のHFT(High Frequency Trading・・・高速取引)と変わりません。いつの時代でもスピードは利益に直結します。
ただし一つだけ気をつけるべきは、スピードで利益を上げるなら競合よりも早い速度が要求される点です。だからHFTの会社などはシステムと通信回線に莫大な資金を投じるわけです。価格変動リスクはなくても、事業の競合リスクには晒されているということですね。
なぜこんな空想話を持ち出すかといえば、最近になってスキャルピングへの質問を受け取ることが増えてきたからです。さっそく紹介しましょう!
頂いた質問の抜粋:
私は、スキャルピングをしています。佐々木先生はスキャルピングは推奨されていないということですね。それもよくわかります。難しいです。負けることが多いです。けれども長い間ポジションを持たなくてよいということについては安全だと思っています。
といいますのも、たとえばリーマンショックとかスイスショックなどありましたが、その際、日本の証券会社の場合ロスカットされず追証が発生したというお話を聞いたことがあります。でも外国の口座では証拠金以上のお金は必要ないところもあると。
日本の口座でもきちんとロスカットされたところもあったのだと思いますしサーバーの強いところを選ぶということでしょうか?!いまの私の情報だけでは、そこはその時にならないとわからないという気がします。
そこのところは佐々木先生はどのようにお考えでしょうか?もしよろしければ教えて頂ければありがたいです。
まずスキャルピングを定義しておきますね。「頭蓋骨の皮」、つまり肉もないような薄い場所から身を削ぎ集め、重ね、利益にする意味合いから来たScalpingが語源で、一般的には一日に数百回(数十回ではありません)の取引を通じて少額の利を積み重ねていく行為のことを指します。
※ 5分から10分程度のトレード時間を繰り替えす日計り取引とは全く異なるものとして説明をしております。
私自身は1日に数百回の取引に集中力を持続することができない人間ですので、スキャルを取り入れるなら自動取引のシステムを作るしかないとわかってはいるものの、残念ながらコーディングやシステム作りは私の専門外なので距離を置いています。
ただ一つ確実に言えるのは、スキャルピングとはブローカーとの戦いであるという事実です。
外為の市場はOTC(Over the Counter)市場、つまり誰がどの値段で取引しようが、お互いが納得すれば良しという世界です。一物一価が原則の取引所取引とは異なるものですね。
ならば複数のブローカーが出す値段同士を比較して、高すぎるブローカーで売り、安すぎるブローカーで買い、値段の開きが閉じた時にポジションを閉じることを継続すれば、利ざやを取ることができます。例えばユーロドルなどでもブローカー同士で10pips近い開きが数分間も続くことは結構あります。
私が趣味で参加しているビットコインのコミュニティでも、取引所同士をAPIという鍵を使ってつなぎ、サーバーに自作のコードを置き利ざやを抜き生計を立てている方もいますし、それを否定するものではありません。
つまりスキャルで成功するなら、罫線分析やファンダメンタルなどは一切無視して、ブローカー同士の値段差を瞬時に拾うシステムを作るアプローチが必要と考えておけば、それほど外れないのではないでしょうか。
もちろん複数のブローカーに置く資金や取引所リスク、資金移動のコスト・手間・時間を総合して利益が継続して出せる方(組織)が実績を残せるのだと思います。
まとめ
システムやコーディングに強い方なら自動スキャルの方が利益を出せるでしょうし、チャートからサポレジを見つける古典的な方法が得意な私は手動です。取引へのアプローチは千差万別ですが、リスクを上回れる得意をどうやって継続していくかがポイントであることは、今も昔も、そしてこれからも変わらないということかもしれませんね。
なお、古典的なサポレジを使った取引の学習コースはこちらです(笑)。
ゴールデンウィークも本日で終わり。来週から張り切っていきましょう!
ハッピー・トレーディング!!