人工知能で東大受験を目指していた「東ロボ」くんが受験を断念した一方で、将棋では人工知能に人間が勝つことは難しくなってきているそうですね。ちょうど受講生からトレードルールの質問へ回答をするなかで、そんなことが頭によりぎました。
受け取った質問は、コースで紹介する取引方法・・・機械的にエントリーとエグジットの場所を決めていく、システムトレードに近いアプローチを取る「ギャップトレーディング(こちら)」です。
質問は、講義どおりのルールでやったらマイナスになってしまいましたが、コレで良いのでしょうか?というもので、スクリーンショット付きで質問を頂きました。
少し話がそれますが、ココスタの講義では質問者の方に、常に具体的なケースを添えて質問をお願いしています。
なぜなら、「FXってもうかりますか?」というような抽象的な質問には回答のしようがない一方で、「ドル円の◯月◯日、この局面でこうだと思ったがズレた要因は何でしょう?自分なりに考えたのは、コレとコレ。スクリーンショットはコレです。スッキリしないのでアドバイスください」と提示して頂ければ、問題点がはっきり浮き上がることがほとんどだからです。
そして受け取ったケースでは、取引のチャンスを作る前と後の「つなぎ目」に相当する時間帯に、米国の大統領選が居座っていました。
いつもは動きの遅いアジア時間で、安全通貨の円が買われて101円をヒットした後にRiskOnとなり、円ロングから逃げ惑うポジションを飲み込み、106円手前まで行く強烈な往復ビンタ相場でした。
こういう「異例」が予期されているときに、システムトレードですべきは、何でしょうか?
そう、スイッチを切っておくことです。
理由は簡単で、取引の根拠にしているロジックが効かなくなる以上、そこでリスクを取る意味がないということですね。
英国離脱(ブレグジット)のときもそうですが、値動きにかぎらず、流動性が消えてしまい値がつかなかったり、注文を執行するブローカーのシステム制限等で、普段のルール・ロジックが使えなくなることもあります。
結論として、受講生から受け取ったケースを精査すると、通常運転のマーケットである大統領選前では完璧に機能をしていた取引方法も、イベントを挟むと前提条件が崩れてしまったというのが要因でした。
そこでお伝えしたのは、機械的な取引ルールを使うためには、マーケットの状態を裁量的に判断するパラドックスを受け入れる必要があるという点でした。
もちろん講義を追加し、通常運転か否かをチャートを使って判断する方法は公開させて頂きました。
こちらの記事でも書いていますが、人工知能のような機械的な取引をワークさせるには、それを管理する人間の裁量判断が必要であるということかもしれません。
私たちが生きている世界は、矛盾に満ちているからこそ楽しいのかもしれませんね。
ハッピー・パラドックス!