なぜ円だけ買われるのか?日本FXの怪現象を探る

ゴールドまで売り越し

867週ぶりに売り越しへと転落したゴールドの投機筋ポジション。2018年8月14日の結果は2001年12月28日以降で初となる事件です。

ゴールドの代表的なETFであるスパイダー上場は2013年1月24日ですから、言い換えれば今回の事件は「ゴールドのETFが定着してから初の売り越し」とも言えます。

さらに主要通貨の中で一人だけ頑張っていたユーロもタイミングを同じくして売り越しに転落。すでに売り越しとなっていた円・ポンド・豪ドル・カナダドル等の主要通貨とともに水面下へと沈みました。

下のチャートに配置されたインジケータは、投機筋のポジションを並べたもの。

全部が綺麗に売り越し(ネットショート)。見事ですね。

投機筋のポジション・上からゴールド・ユーロ・円・英ポンドの順
投機筋のポジション・上からゴールド・ユーロ・円・英ポンドの順

 

8月中旬までは、取り残されていたユーロを売ってさえいれば利益を出せた状況でしたし、私自身も「ユーロ売り」を中心にポジショニングをしていました。

ところが今は、全員が「水面下」です。つまり今からは、水面から湖底まで落ちやすい対象を見つけることが必要となる局面だと言えるでしょう。

取引の基本は、「弱いものを売り、強いものを買う」ことにつきます。

もちろん今の時期、もっとも強いのは米ドルです。米ドルが強いので、他の取引対象は分野を問わず引きずり降ろされているという状況にあります。

ただ、もう少し細かく見ていくと、それ以外にも「強含み」となる通貨はあります。

一つのヒントは、過去記事で公開をしている「円」ですね。

https://www.cocosta.jp/2018/usdjpy-shorted/

この記事では、7月15日の時点でドル円の112.65超えは「売り」であることを述べていますし、自分自身もそのポジション(円ロング)を保有していました。

本日現在、ドル円は110.5近隣を彷徨っていますから、やはり円が強い状況には変わりないです。

 

なぜ円だけが強いのか?

では、なぜ円だけ強いのでしょうか?

理由の一つは、日本の投資家が高金利通貨である「トルコリラ円」と「南アフリカランド円」を無茶苦茶に買っており、それらが下げた局面でロスカットが発生し円が買い戻されていることがあります。

トルコリラ円を買うためには、「トルコリラ/米ドルを買う」☓「ドル円を買う」という工程が必要になります。

そしてトルコ円が値下がりして強制決済をされたときには、「トルコリラ/米ドルを売る」☓「ドル円を売る」工程が自動的に発生します。

つまり、トルコ円や南アフリカランドなどの新興国☓高金利通貨が下落し強制決済が続く限りは「ドル円が買われる」状況が続くということになります。

日本のFX売買高を見ていると、問答無用で高金利通貨に買いが集中するという特性があります。

変動リスクの高さと天秤にかけると、この取引習慣は怪現象と感じられる方も多いでしょう。

ただ、そうした日本の高金利通貨好きが、今の局面では円を強くしている要因の一つであることは事実ですね。

こちらのコースでは、それら背景を一つ一つ引き剥がしていき、次にどの通貨ペアを取引すると効率が良いのかも明らかにする方法を週替りでお届けしています。

トレードは不安定な要素が大量にある場所ですから、できるだけ見える要素を集められる場所で勝負していきたいものですね。

今週も楽しんでいきましょう。

 

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