2024年、明けまして、おめでとうございます!振り返れば、2023年もいろいろなことが起きましたね。
ロシアによるウクライナ侵攻、習近平国家主席の3選、ガザ・イスラエル紛争の勃発などの動きは、結果的にビットコインの価格を押し上げることとなって年を終えることとなりました。
さて2024年のビットコインは、どのような挙動を見せてくれるのでしょうか?すごく個人的な見解ではありますが、ファンダメンタルの変化も含めて書いてみたいと思います。
人工知能で使える自由な時間が増え、心理的な不安を感じる人が増える
人工知能と対話できるChatGPTが2022年11月に投下されてから、一気に仕事の生産性が変わりました。
私の仕事でも、いままで手作業で編集していた動画を人工知能に振り替えることができるようになりました。
毎週配信している動画の編集に3時間ほど費やしていたのが自動化され、作業時間は20分程度へと減少し、空いた時間をリサーチなどに充てることができるようになっています。
こんなようなことが世界中のあちこちで起きており、人々が使える自由な時間は、より増えていくことが明らかです。
では自由時間が増えたとき、私たちの社会はどのように変わっていくのでしょう?
米国では1960年から2010年の50年間で、テレビの視聴時間が週に32時間へと倍増する結果となりました。そして仕事の時間が減り余暇の時間が増えたにもかかわらず、逆に人々はストレスをより抱えることになってしまったのです。
さらに2018年に米国の大人1,000人以上の成人対象の調査では、SNSを1日300分を超えて使う人は、まったく使用していない人と比較して不安や抑うつの症状を2~3倍の確率で発症することも明らかになっています。
No More FOMO: Limiting Social Media Decreases Loneliness and Depression
https://guilfordjournals.com/doi/10.1521/jscp.2018.37.10.751
残念ながらリサーチの結果を見る限り、人は自由な時間が増えると、ストレスを感じる方向に向かいやすいようです。
もちろん対策としては明らかで、空いた時間を強制的に他の活動に充ててしまうことです。近年、日本でも筋トレ民が増えてきているのも、この余暇時間ができたことで可能になったものでしょう。
人間は、もともとタスクをこなすように作られているので、逆に空白の時間が増えてしまうと不具合が出るということですね。
あまり関係ないかもしれないですが、アメリカで雪が降っているときに高速道路を走っていると、しょっちゅうスリップして側道に突っ込んでいる車を見かけます。それらって、ほとんどが荷台がカラの家庭用4WDトラックなんですよね。
家庭用といえどもトラックですから、荷物を積んだ時に荷重が最適化されるように設計されています。だから荷物がカラだと荷重バランスが悪いんですよね。結果、グリップのない雪道で加重のかからない後輪からスピンしてしまいます。
普段はグリップを与えてくれる4WDも、逆にドライバーに過信を与えてしまうこともあるのでしょう。
人間もトラックも、仕事をしているほうが本来の機能を発揮できて荷重バランスが良い点では、共通しているのかもしれません。
貧富の拡大で直近性思考に陥る人が増え、選挙はバラマキ合戦になる
ピケティが「21世紀の資本」で主張したのは、資本主義では富の不均衡は放置しておけば格差が広がる一方となることでした。
資本主義の大本営である米国では、1989年から2016年にかけ、上位10%の高所得者が獲得している所得の割合が50%にまで拡大をしています。
https://www.stlouisfed.org/open-vault/2019/august/wealth-inequality-in-america-facts-figures
さらに世界に目を向ければ、トップ1.1%の人口が富の45.8%を所有しているのが現実です。
visualcapitalist.com より
なぜこのようなことが起きるのでしょう?やはりピケティが述べたように、所得よりも資産価格のほうが上昇速度が速いことが理由でしょう。
日本でも東京大学が2022年に出した「日本財政論集」の中で、年齢別保有資産ギャップの推移を分析しています。1990年から2020年の間に、60歳代の保有資産額は3倍以上に増加したのに対し、20歳代はわずか1割程度しか増加しませんでした。
これも保有する不動産の評価額が上昇する速度のほうが、所得の伸びよりもはるかに速いから起きている現象ですね。
ただ不動産などの資産を持つ人数は、どちらかといえば少数派です。結果的に、厚生省の発表している相対貧困率の年次推移は、1985年から2015年にかけて、12%→15.4%へとじわじわ切りあがってきています。
こうなると、普段の生活が苦しいと感じる人たちの割合も増えてきてしまいます。人間は、生存が脅かされると、普段とは違った行動をとることがわかっています。
たとえば火事などの脅威が間近に迫った時は、即座に対応するために脳が広域の情報をシャットアウトし、行動を起こすことに脳内リソースを集中させます。
「危機を回避するために今すぐ動け」、、、という思考ですね。
さらに危機を感じると、集団のリーダーや公的なアナウンスを無条件で受け入れるよう、私たちの脳はリスク許容パラメータを書き換えてしまう傾向があります。
おそらく、私たちは大昔の狩猟時代につちかった生存OSを強く脳の中に残しているのでしょう。
生き残るためには、まず危機から離れるために行動を起こす。そのためには、長く生き残った人の指示を信じることが最善であった。そんな経験が脳内DNAに刻まれているのかもしれません。
つまり、、、所得格差が開き相対的な貧困率が上がると、、、じわじわとですが以下のような判断をする人が増えてくることになると自分は考えています。
- インフルエンサー的な人々の言動に追随する人が増える
- 将来よりも目前のリターンを極端に重視する人が増える
- 短期・追随思考型の人に支持されるポピュリスト政権が誕生する
- 選挙選は、いかにバラまけるかが勝敗を決める
さて2024年は、重要な国が一気に選挙へ突入する年となります。ざっと見ただけでも、こりゃ大変という感じです。
国 | 選挙種別 | 時期 |
---|---|---|
台湾 | 総統選 | 1月10日 |
ロシア | 大統領選 | 3月17日 |
インド | 総選挙 | 4月から5月 |
韓国 | 総選挙 | 4月から5月 |
フランス | 大統領選 | 4月10日と24日 |
ドイツ | 連邦議会選挙 | 9月26日 |
日本 | 自民党総裁選 | 9月頃 |
アメリカ | 大統領選 | 11月5日 |
すでに米国の中央銀行は、政治の圧力を受けて利下げへと舵を切っています。これと同じような、もしくは、より露骨な票買いの動きが2024年は、あちこちで出てくるものと推察されます。
その中でも、最重要となる国の動向を少し確認しておきましょう。
2024年のビットコイン動向に最大の影響を与えるのはインド(たぶん)
さてビットコインへの潜在的なニーズが高い国とは、どのような要素を持っているのでしょうか?個人的には、以下のような点を抑えたいと考えています。
- インフレ率および軍事支出の大きさ
- 銀行インフラの脆弱さ、およびビットコイン浸透率
- 人口
詳しい方法はスキップしますが、上記をスコア化して国別ランキングを出してみると、以下のようになります。
1位 インド
ココスタ調べ
2位 トルコ
3位 スーダン
4位 イラン
5位 ベネズエラ
6位 アルゼンチン
7位 ナイジェリア
8位 ロシア
9位 米国
10位 英国
インドは、インフレ率も銀行の脆弱さも軍事支出も「そこそこ」なのですが、なにせ人口が14億人と突出をしています。結果的に数値化すると圧倒的な1位となってしまいました。
さてインドも2024年は選挙となります。以下、簡単にインドの現状を確認しておきましょう。現状、モディ首相の率いる与党BJP、野党INCいずれかが有力な候補としてリストをされています。
ただ、両者ともに共通しているのは、バラマキ主導です。
与党BJP
貧困削減・インフラ整備・農業改革・雇用創出
野党INC
格差の是正・社会正義・環境保護
なお、インドのばらまき政策は徹底しています。ウクライナ・ロシア事変で欧米がロシア産の原油・天然ガスの調達を削減する中、代わりにロシア産の調達を最大に増やしたのがインドでした。2023年11月には、インドはロシア原油の32%を輸入したとされています。
バラまき政策を目玉とした政治である以上、燃料代を安く抑えられなければ、支持を失ってしまいます。欧米発のロシア原油不買運動は、単純にインドへ安いロシア産原油を回すことで決着しました。
さて選挙戦に向けてバラマキを実行するとき、その国の政府が最も注意することは何でしょう?
それはバラまいた現金が、ちゃんと国内に還流して票に換算されることです。一部の利権者が通貨をがめて海外に飛ばそうものなら、「現金の刷り損」です。
つまり、バラマキによる票買いの実効性を確保するためには、海外への資本流出を抑制する必要があるわけです。
ではどのようにして資本が流出するのでしょうか?現在、インドの10年金利は7%を超えており、米国と比較しても資金流出を心配するようなレベルでもありません。法定通貨を介した流出は心配する必要もないでしょう。
ですが暗号通貨となれば、話は別です。
仮にドルにペグしているUSDテザーなら、取引所によっては10%を超える金利を出しています。こうなるとインド国内の金利より高くなりますから、「そっち」に移動する資本も出てきてしまいます。
これは為政者としては、あまりこのましくありません。さて選挙戦も目前の2023年12月29日に、インド金融情報機関が9つのオフショア仮想通貨取引所(バイナンス・クーコイン・クラーケン・ゲート・ビットトレックス・ビットスタンプ・MEXCとビットフィックス)に対してコンプライアンス違反の照会通知を発行しています。
あきらかに2024年の選挙戦に向けた資本規制を意識した布石ではないでしょうか?
選挙選を迎える2024年、暗号通貨取引所への締め付けを強くすることで資金の海外逃避ルートをふさぎ、通貨政策で選挙を有利に進めたいという思惑がどの程度あるのか、2024年の注目点となりそうですね。
ビットコインは禁止され爆上がりする
ここまでは、2024年の選挙イヤーにバラマキが広がることを考察しつつ、同時に資金の海外逃避を抑えるために暗号通貨の取引所に対する締め付けが厳しくなりつつある現状を確認しました。
では仮に、ビットコインの購入を規制する法律が可決されたらどうなるのでしょうか?特に、インド・トルコ・ナイジェリア・ロシアなどはビットコインを必要とする潜在的なニーズが強い国です。
禁止されることでビットコインは暴落してしまうのでしょうか?いえ、筆者は真逆のことが起きると考えています。
人は禁止することが明らかになると、逆に買い急ぐという特徴を持っています。
例えば米国では、銃犯罪が起きて議会で規制の議論が起きるたびに、銃の製造メーカーの株価は上昇しています。
たとえば2016年6月12日、アメリカ・フロリダ州オーランドのゲイナイトクラブ「Pulse」で、29歳の男性が銃を乱射し、49人が死亡、53人が負傷する大惨事がありました。
もちろん銃規制強化を訴える声は高まりました。その結果、銃の購入を考えていた人たちは「禁止される前に買え」で銃の買い占めが起きました。そして銃製造メーカーのスパイクズ・タクティカルの株価は12%、スミス&ウェッソンの株価は7%の急騰が起きています。
仮にビットコインの購入を禁止するとの報道が出たり噂が回れば、同じような駆け込み買いが発生し、ビットコインの価格は急騰することになるでしょう。
つまり2024年のビットコインは、、、
〇 選挙戦のバラマキ合戦でインフレ発生 → 価格上昇
〇 ビットコイン購入が規制されたなら → 価格は急騰
どちらにしても上昇することになると考えます。2022年末には、2024年の半ばころに8万ドルへ到達との予測を書きました。
世界がより直近思考へ傾きつつある今、なんとなく現実味も高まってきたように感じます。あなたは、どう感じますか?またコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
まとめ
2024年の世界は、AIの発達や所得格差拡大などにより、人々のストレスが高まる一方、政治的にもポピュリズムの台頭が予想されます。 重要選挙の相次ぐ年でもあり、各国政府は有権者へのアピールに余念がないでしょう。
その結果、過剰な金融緩和やバラマキ政策の拡大が進み、インフレ率の高騰につながる可能性があります。同時に、海外への資本流出を防ぐため、暗号資産への規制強化も想定されます。
しかし逆説的に、規制強化をきっかけにビットコインへの投機的資金が殺到し、価格は急騰する可能性も十分にあります。過去の事例から判断しても、そうした「駆け込み需要」が発生しやすい環境だと言えるでしょう。
要するに2024年の世界経済は、不確実性が高まる一方、ビットコインを含む暗号資産市場は想定外の動きを見せることが予想されます。行方は人々の本能的行動次第かもしれません。
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それでは、2024年もハッピー・ビットコイン!