なぜドル円相場は80.00等のキリが良い数字で反応するのでしょうか?過去記事の<サイコロジカル>で紹介した内容に関して質問を頂きましたので、これに答える形で掘り下げてみたいと思います。
サイコロジカルポイントの事で質問します。
- キリの良い価格の算出に法則がありますか?
- 15分足のキリの良い価格は現在のレートに近いですが、なぜ1時間足やDailyと15分足のキリの良い価格が違うのですか?
- 主要通貨のすべてのペアで、キリの良い価格から10%づつ引いた価格、また10%づつ足した価格は、キリの良い価格と言えますか?
- 最後にGBP/JPY=実際レート122.9405円です。キリの良い価格を教えてください。
onoue様
キリの良い価格とは、末尾に出来るだけ0が多く付く数字です。
質問4のポンド円を下に伸ばすなら、以下の順でキリが良くなっていきます。
- 122.00 / 121.00
- 120.00 / 110.00
- 100.00 (一番キリが良い)
またドル円は75円Midまで下げましたが、キリの良い順に上へ伸ばすなら、下のようになります。
-
- 76.00 / 77.00 / 78.00 / 79.00
- 80.00 / 90.00
- 100.00 (一番キリが良い)
なぜサイコロジカルが発生するのか?
なぜこうした現象が起こるのでしょうか?集団心理を考えるとわかりやすいかもしれません。身近なドル円の事例で考えてみましょう。
企業が行う為替予約等の多くは78.00や79.00等のキリが良い数字で行われます。社内レートを簡潔にするためという事情もあるでしょうが、こうした注文が入るために、78.00や79.00の「小さな」サイコロジカルでも値段が反応します。
また普段は為替に興味が無いが海外旅行等に行くことを考えている人たちは、新聞の見出しで「ドル円80円を突破して上昇」等を見ると、「今のうちに予約を完了させないと円安に進んで費用が高くなるかもしれない」と考えて旅行の申し込みを行う人が増えるかもしれません。
そして普段は全く為替に興味のない人でも、週末のニュースやワイドショーで「ドル円が100円に戻した!」等の特集で、自分の好きなコメンテーターやゲストがそれに対して発言すると、急に為替に興味が湧いて外貨預金等をはじめる人が増えるかもしれません。
これら個別の活動は一つの事例に過ぎませんが、値段のキリが良くなればなるほど値段帯に興味を持つ人が増え、結果的に売買の量が増えることはイメージできると思います。
下の画像を見るとドル円の取引量が実際にサイコロジカル80円近辺で大きくなっていることがわかります。(画面下のバーチャートは取引量)
これらを踏まえて、頂いたご質問にお答えしていくと、次のようになります。(1と4の回答は文中を参照ください)
15分足のキリの良い価格は現在のレートに近いですが、なぜ1時間足やDailyと15分足のキリの良い価格が違うのですか?
トレードに使う時間足が小さくなるほど、市場からの一定の入力に対してプライスアクションの影響を受けやすくなります。「キリの良い順」で下位にあたる値段帯は、日足ローソクで見ればヒゲの通過ポイントでしかなくても、15分足ではサポート・レジスタンスとして十分に活用することができることが多々あります。もちろん15分足のチャートでも「大きな」サイコロジカル(ドル円80等)にぶつかれば影響大ですが、現実問題として下の時間足で「大きな」サイコロジカルに出会う機会は少なく、そのために「小さな」サイコロジカルも活用していく必要があるということです。
主要通貨のすべてのペアで、キリの良い価格から10%づつ引いた価格、また10%づつ足した価格は、キリの良い価格と言えますか?
これは関係ありません。あくまでも「見た目でキリが良い」数字がサイコロジカルです。
なお、似た用語に「サイコロジカルライン」がありますが、これは「売られすぎ」「買われすぎ」を過去の値動きから算出して表示するインジケーターで、欧米では使われていません。あしからず。。
サイコロジカルでのプライスアクションを使ったトレード方法は、<負けないトレード実践編>にて学べます。
早々に疑問点をお教え頂きましてありがとうございました。
もっとも疑問点だった15分足のキリの良い価格をも含めて良く理解できました。
ご指示に従って<テクニカル実践編>を聴き直しましたところ、フィボナッチ・エクステンションの設定を含め必要な情報はビデオで解説されていました。これを機会に他のビデオもすべて聴き直そうと思っています。改めて素晴らしい内容だと思い知りました。
ありがとうございました