7月21日付けのウォール・ストリート・ジャーナルに、前頭葉とトレード意思決定の関連を実験で研究した記事が出ていました。なぜ相場が乱高下するのかを前頭葉の性格から説明できる興味深い記事だったので紹介します。
実験は健康な前頭葉を持つ人と、事故などで一部損傷をした人たちとを2グループに分け、4台の好きなスロットマシーンでプレーしてもらい、意思決定に何か違いがあるかを探ったものです。カラクリはスロットマシーンの勝率が完全にランダム設定されており、どの台を打っても結果は同じになるように設定されていたことです。
結果、健全グループは直近の払い出しが大きくなった時に次の掛け金を大きくし、損傷グループは通算の払い出しが多い台に掛けを大きくしたことがわかりました。研究者のコメントは大変に興味深かったので、引用します。
「前頭葉は予想不可能な自体に直面しても負けを認めようとしない。目の前のランダムに起こる事象に対して計算能力を総動員して法則を探ろうとする。そして法則が無い時には、自分都合の法則を作り出す。そしてその法則に従い行動するよう促す。」
この記事を読んで、なぜバブル経済が起こるか?すべて理解できた気がしました。
人間にしか備わっていない計算能力と論理力を与えてくれる前頭葉は、一歩間違えると自分に都合の良い解釈を、さも「これが論理的で計算上も正しい法則だ」と押し付けてくるのです。
もちろん私にも経験があります。
初めて株に手を出した頃に新興情報会社の値段が等比級数的に上がっているのをみて、「この流れは2年間継続している。それならあと一年は継続する”はず”だから、来年は倍で売れる」 と資金を突っ込んだら半年後に本当に倍になりました。そして次に「しまった、もっと買っておけばよかった。来年には更に倍に上がる”はず”だ。理由はetcetc…」と突っ込み買いをして、見事翌年には原資が20分の1になったという、お手本のような負け方です。
どうも人間は意識し続けない限り、新しい前頭葉くんは動物的な本能くん(食欲・性欲・金銭欲)の手先になってしまうようです。
相場に置き換えれば、欲と恐怖に基づき直近相場の動きで意思決定する集団が7~9割。一方の1割は人間の「直近思考」法則を理解し、集団よりも一つ上の時間軸で相場を捉え、繰り返すパターンを使って収益を上げ続けます。ただしこの1割も「欲」が入った瞬間に反対の集団の側に入ってしまうことは、最近の米銀大手JPモルガン・チェースのデリバティブ損失を見ても明らかです。
迷いが晴れるトレーディングガイドの中で述べていますが、こうした「欲」と「直近思考」に自分を引き渡さないためにすることは一つ。相場をはじめる前に、自分の人生の目的を再度紙に書きだして整理をすることです。
何のためにお金が必要なのか?自分は本当は何をしたいのか?そのためには、いつまでに幾ら必要なのか?逆に言えば、そこに到達すれば相場に居残る必要は無いわけです。
管理人も本日は紙を出してきて、再度自分とお話をしてみたいと思います。