「談合」・・・同じ利害のプレイヤーが集まり「最適価格」を決め、それを互いに崩さないことで競合との共生を保ちつつ、利潤を高めようとする活動ですね。
もしこれをAI(人工知能)が自立的かつ自動的に行っているのであれば、何が起こるのでしょうか?
ここ最近、ビットコインのハッシュレートがイマイチ伸び悩んでいます。この背景に「AI談合」があるのではないだろうかと思うに至りましたので、ちょっと記事を書いてみました。
AI(人工知能)は談合する
日経新聞の経済教室で「AIが価格競争回避、弊害も」というトピックがありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH193CV0Z10C21A3000000
ざっくり説明すると、、、
価格競争モデルを人工知能に学ばせると、他の人工知能と自然発生的に共謀し談合価格を形成するというものです。
エミリオ・カルバノ ボローニャ教授がアルゴリズムの行動を追跡し得た結果からの知見は、とても興味深いモノでした。一読をお勧めします。
この「AI談合」、ここ最近のビットコイン・ハッシュレートが伸び悩んでいる背景の一つかもしれません。
下のグラフは直近のビットコインハッシュレート推移です。
パッと見ると、「なんだ右肩上がりじゃないか」となりますね。
ではビットコインのマイニングが「何」を使って行われているかと言えば、半導体です。
半導体には、”集積回路上のトランジスタ数は「2年ごとに倍になる」”というムーアの法則が息づいています。
つまり、マイニング機器を経年で入れ替えていくだけでも、「2年で倍の」ハッシュレートが出るようになってしまうわけです。
だとすれば、ビットコインのマイニング速度が「実質的に」どれほど上昇しているのかは、別に計算して求める必要があります。つまりムーアの法則から上放れしている度合いを知る必要があるということです。
実質ハッシュレート
金利にも、名目と実質があるように、マイニングに「実質ハッシュレート」があっても、別におかしくはないですね。
ということで、ムーアの法則である「2年で2倍」を除去した実質ハッシュレートを出してみました。
実質ハッシュレート自体は、2019年10月中旬以降、横ばいで推移していることが分かります。
つまりビットコインのネットワーク増強自体は、2019年10月中旬で一旦は「止まっている」のです。
結果どうなったかと言えば、採掘原価はさほど上がらずビットコイン価格だけが上昇。そしてマイニング利益率は飛躍的に上昇。マイニング会社の株価は強めの上昇をするに至りました。
この「適温ハッシュレート」を可能にしたのは、つまるところ人工知能の談合ではないかと思うのです。
過去の採掘コストと採算の動きを人工知能が機械学習し、そこから最適な投下電力を算出すると「自動的にハッシュレートが高採算となるレベルで収まった」。
そう考えておくと、辻褄が合う部分もあります。
値段が上がっているのは単に法定通貨が稀釈しているから
もちろん、ビットコイン価格はハッシュレートなど関係なく上昇をしています。
が、米国の現預金流通量が前年度比で加速を始めたのも、実は2019年8月ころからです。
それ以前は、前年比5%以内の増加で現金の流通量はコントロールされていました。今現在(2021年4月)は昨年対比で現金流通量が25.7%も増えています。
つまり、ビットコインのネットワーク価値自体は大して変わっていないのに、法定通貨の方が勝手に稀釈してビットコインの「価格」が上昇してしまった。
そんな姿も浮かび上がるのです。
人間の都合をビットコインのハッシュレートが映し出しているようで、なにやら興味深いですね。
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最後に:
こちらの記事はクリプト通信内の講義データを一部転用させて頂いております。購読料を支払って受講頂いている受講生の方、公共知識への寄与ということで、なにとぞ無料記事にて公開することをご理解頂けましたら幸いです。
ハッシュッレートは基本的にマイナー数によって変動するので、単純に参入数が鈍化してるだけでしょう。それは価格上昇スピードにマイナーが追いつけていないだけなので。2017-2018年でも同様の現象が起こり、価格上昇しきって下がった頃にハッシュッレートが上がった、つまり新規参入がそのあと増えた、それは初期投資の時間が必要だから、という結論に至っています。
ついでにムーアの法則はもう古いですよ。2019年頃から鈍化していて、その役目を果たしたと言われてます。
今後、またマイナー参入が価格上昇に応じて(時間差をもって)増加していくかがポイントということですね。貴重なご意見、ありがとうございます。