こんにちは。今回は、ビットコイン(BTCUSD)とゴールドという2つのハード通貨への資金動向について詳しく見ていきたいと思います。
5月17日時点で、ビットコインとゴールドのETF(上場投資信託)への資金流入累計額が10億ドルを突破しました。特に5月に入ってから、ビットコインのETFには5日連続で資金が流入。
ゴールドのETFにも、5月15日と17日だけで大量の資金が入ってきており、17日には4億ドルもの流入がありました。まさにハード通貨全体に資金が集まっている状況と言えるでしょう。
ここで、ハード通貨とは何かについて説明しておきます。
ハード通貨とは、希少性が高く供給量が限定的で価値が安定しており、インフレリスク(通貨の価値が下がる可能性)が小さい通貨のことを指します。また、中央集権的な管理者が存在せず、政府等による操作が難しいのも特徴です。そして、携帯、保管、取引が容易であることも重要なポイントです。
2023年までの常識では、ゴールドがハード通貨の代表例とされ、ビットコインは一部のハード通貨特性を持ちつつも独自の性質を持つ資産とされてきました。しかし、ビットコインへの資金流入の加速から、この常識も徐々に変化してきているのかもしれません。
実際、コインポストの記事によると、ブラックロックのビットコインETFには414もの機関投資家が資金を流し込んでいるとのことです。通常、20程度のホルダーがいれば多い方だと言われる中、400を超える機関投資家が存在するのは驚くべきことです。ビットコインへの関心の高まりが伺えます。
また、ビットコインとゴールドのETFへの資金流入累計額の推移をグラフで見ると、3月中旬から5月中旬にかけて一時的に停滞していたものの、5月15日以降に再び大きく伸びを見せています。この動きは、ハード通貨への関心の高まりを示しているのではないでしょうか。
そして、もう一つ注目すべきニュースがあります。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がビットコインの現物取引の取り扱いを開始するという報道です。現在、CMEではビットコインの先物取引は行われているものの、現物の取り扱いはありません。これが実現すれば、マイナーにとって事業計画が立てやすくなるなどのメリットが生まれます。
また、CMEは信頼される取引所であるため、ビットコインの取引におけるカウンターパーティーリスク(取引相手の信用リスク)を大幅に減らすことができます。FTXなどの事件からもわかるように、取引所のリスクは仮想通貨投資家にとって大きな懸念材料ですからね。
そしてさらに、CMEでの現物取引が始まれば、ビットコインの価格のボラティリティ(値動きの荒さ)も抑えられると考えられます。現在は、先物取引の決済時期に買い圧力などが生じるためボラティリティが大きくなりがちですが、現物取引が可能になればこの問題は緩和されるでしょう。
そうなれば、ビットコインはボラティリティが高いからハード通貨とは言えないという2023年時点での常識も変わっていくかもしれません。ビットコインの価値が安定し、インフレリスクも低いとみなされるようになれば、間違いなくハード通貨としての地位を確立することになります。そうなれば、さらに多くの資金がビットコインに流入することも予想されます。
以上のように、ビットコインは着実にハード通貨としての位置づけを獲得しつつあり、CMEでの現物取引開始というビッグニュースによって、さらなる変化が訪れる可能性があります。
今後もビットコインとゴールドというハード通貨の動向から目が離せませんね。
以上はココスタ「トレーディングカレッジ」、2024年5月20日配信分より一部を公開してお送りいたしました。
引き続き、ハッピー・ビットコイン!