6万ドルの大台を割り込んだものの、すぐに復活して上昇気味の気配を見せているビットコイン(BTCUSD)。いったい何が浮上のきっかけだったのでしょうか?
今回の記事では、5月FOMCで発表された金融のステルス緩和により、ビットコインの再浮上が早まる可能性について書いてみたいと思います。
↑ 5月FOMCで発表された金融のステルス緩和に反応し上昇するビットコインの図
5月FOMCで発表されたステルス緩和とは?
まず最初に、ステルス緩和って何?という点について説明をしておきます。
私たちの身の回りで販売されている日用品でも、価格は変えずに内容量を減らすなどの対応を「ステルス値上げ」と呼んだりすることがあります。
これは原材料価格が上昇する中で、企業が利益を守るために、同一商品なのだけれど、売価はそのままで商品の量を削り、利益を確保するためのアクションを指します。
多少の原材料コストの変動で値段を変えていたら、商品コードの変更から消費者への告知まで、大手になるほど対応コストが大きくなりますからね。現実的なベストプラクティスとして仕方ない部分もあります。
ただ世間で「ステルス値上げ」と呼ばれるときには、どちらかというと「消費者にばれないようにコストを下げる姑息な行為」というニュアンスで使われます。
同じように、金融政策でも堂々と狙った施策をアナウンスできるときもあれば、それができずに「ステルスっぽい」動きになることもあります。
今回、5月のFOMCで発表された緩和政策が、まさにそんな動きでした。声明のうち、こっそりと紛れ込まされた緩和部分を抜き出しますね。
6月から、委員会は米国債の毎月の償還上限を600億ドルから250億ドルに引き下げることで、自己の証券保有額の減少ペースを緩める予定です。
Beginning in June, the Committee will slow the pace of decline of its securities holdings by reducing the monthly redemption cap on Treasury securities from $60 billion to $25 billion
結局、この声明が出た直後からビットコインは下落から上昇へと急転回をします。
**「中央銀行には逆らうな」**という投資格言があります。市場のルールを決める中央銀行の政策に逆らったとしても、ロクな結果にならないという意味ですね。
今回のFOMC声明では、米国の中央銀行様が市中にドルをねじ込むと明言されたわけです。実弾を握って運用している参加者にとってビットコインを買い向かったのは、もはや「体が反応した」というレベルの話かと思われます。
ではここからは、今回の緩和がどのくらいのインパクトを市場に及ぼすのかを考えてみたいと思います。
ビットコインは下がれない~十分すぎる流動性
ビットコインを含むリスク資産価格に強い影響を与えるのが、米ドルの流動性です。これは、以下の3つで計算されます。
- NY FEDバランスシート残高が上昇すると、米ドルの流動性が上昇する。
- NY FED保有のリバース・レポ残高が上昇すると、米ドルの流動性が下落する。
- 財務省一般会計口座残高(TGA)残高が上昇すると、米ドルの流動性が下落する。
※ 詳しくはVol.172 アーサー直伝・米ドル真の流動性よりhttps://coinkeninfo.com/vol-172-bitcoin-and-usd-liquidity/
今回のFOMC発表は、1.FEDバランスシート残高の削減速度を緩めましょう・・・というものです。
以下は過去1年間の米ドル流動性を、そのままグラフにしたものです。2023年4月末から1年間で見た場合、流動性は綺麗に「横ばい」となっていることがわかります。
では仮に「月々の削減額を35 Billionだけ緩めていたら」どうなっていたのかをシミュレーションしてみました。
35 Billionの緩和を12か月続けると、年間で420 Billionの緩和効果となりますから、かなり右肩上がりに修正をされました。
ちなみに過去1年間、つまり米ドルの流動性が増えていない期間のビットコイン騰落率は、、、100%を超えています。。。
以上はビットコイン研究所さんへの寄稿記事から前半を抜粋してみました。出典はこちら!
https://coinkeninfo.com/stealth-qe-comingback
以下のコース受講生の方にも、全文を配信させて頂いております。
引き続き、ハッピー・ビットコイン!