はじめに
「トランプ大統領の関税政策で、ビットコインの価値は毀損するのではないか?」
これは先日、週刊フォーキャストの受講生の方からいただいたご質問です。確かに一般的には、関税政策により経済の成長速度が鈍化し、リスク資産であるビットコインにネガティブな影響を与えると考えられがちです。
しかし、実際の市場データと政策の本質を深掘りしてみると、全く逆の結果が見えてきました。本記事では、この疑問に対する分析結果と、日本の投資家が知っておくべき重要な構造変化について詳しく解説します。
📹 詳細解説動画
この記事の内容について、より詳しい分析と最新データを動画で解説しています。記事と合わせてご覧いただくことで、より深く理解していただけます。
🎯 動画の主要トピック
- 関税政策と銅価格急騰の実例分析
- トランプ大統領のポートフォリオ詳細解説
- FOMC議事録の市場インパクト
- 日本の30年金利とスイスフラン円の関係
- 投資戦略への具体的示唆
関税政策の真の影響:銅価格が示した現実
市場が先読みした価格転嫁
2025年7月8日、トランプ大統領はアメリカに輸入される銅に対して50%の関税をかけると発表しました。その直後に何が起こったでしょうか。
ニューヨークのNYMEX取引所で取引される銅価格は、1日の値上がり幅で過去最大を記録しました。5.0ドル程度で推移していた価格が一気に5.7ドル近くまで上昇し、十数パーセントの急騰となったのです。
この現象が示すのは明確です。関税 = 物価上昇 = インフレーションという構造を、市場が完全に先読みして動いたということです。
インフレ対策資産としてのビットコイン
銅は「ドクター・カッパー」と呼ばれるほど、産業全体の動向を表す優れた指標です。その銅がこれほど急騰したということは、関税政策がいかにインフレを加速させるかを物語っています。
そして重要なのは、ビットコインも長期的には銅価格と相関性を持つということです。なぜなら、両者ともインフレ対策資産としての性格を持っているからです。
市場は関税政策によるインフレを見越して、以下の資産を買い始めています:
- 銅
- ゴールド
- シルバー
- ビットコイン
トランプ大統領のポートフォリオから読み解く政策意図
利害関係者としての大統領
政策の方向性を予測する上で、「誰が得をするのか」を考えることは重要です。トランプ大統領のポートフォリオを分析すると、興味深い構成が見えてきます:
- 不動産:約50%
- 暗号通貨関連:20-25%
- その他:25-30%
この構成を見れば、大統領がどのような政策を推進するかは自明です。金利を下げること以外に選択肢はありません。
金利低下がもたらす資産価格押し上げ効果
なぜ金利低下が重要なのでしょうか。住宅ローンで考えてみると分かりやすいです。
例えば、月返済額10万円で30年ローンを組む場合:
- 金利3%:借入可能額 約3,000万円
- 金利2%:借入可能額 約3,600万円
- 金利1%:借入可能額 約4,200万円
同じ返済能力の買い手でも、金利が下がれば借りられる金額が増えます。つまり、金利低下は不動産価格を押し上げるのです。
ビットコインも同様です。金利が下がれば:
- 資金調達コストが安くなる
- レバレッジ取引でより大きなポジションが持てる
- 現金の魅力が相対的に低下し、リスク資産に資金が流れる
FOMC議事録が示したハト派転換
2025年7月3日に発表されたFOMC議事録は、市場に大きなサプライズを与えました。タカ派と思われていたFOMCメンバーの中から、「次回会合から利下げを考慮すべき」という声が複数聞こえてきたのです。
この「意外なハト派転換」が、ビットコインが11万ドル台から12万ドルを突破する起点となりました。さらに、7月は下半期の資金流入タイミングとも重なり、上昇に拍車をかけました。
日本円が直面する構造的危機
見過ごされる本質的問題
現在の日本の選挙戦を見ると、外国人問題に関する議論が目立ちます。しかし、冷静にデータを見ると興味深い事実が浮かび上がります。
日本の社会保障費における外国人への支出:わずか2%
一方で、日本の一般会計の構成は以下の通りです:
- 社会保障費:約35%
- 国債費(利払い):約20%
- 合計:55%
つまり、国家予算の半分以上が社会保障と借金返済で消えているのが現実です。
政治的ジレンマと財政悪化の悪循環
なぜ外国人問題がクローズアップされるのでしょうか。答えは単純です:
- 社会保障費削減は避けて通れない課題
- しかし、それを主張すれば高齢者の票を失う
- 若年層の投票率は低く、高齢者の票は選挙の鍵
- 外国人は票を持たないため、批判しても票は減らない
この構造により、本質的な財政改革は先送りされ、赤字国債の発行に頼らざるを得ない状況が続いています。
30年金利3.2%突破の警告シグナル
市場はこの状況を冷静に評価しています。その結果が、日本の30年金利3.2%突破です。これは1999年以降で最高水準であり、市場が日本の財政持続性に疑問を抱き始めていることを示しています。
私の試算では、利払い費が2.5%程度になると国家予算の半分以上が利払いで消えてしまいます。30年金利が3%を超えている現状を考えると、このままでは日本のデフォルトリスクが現実味を帯びてきます。
スイスフラン円上昇が示す円の地位低下
円とスイスフランは、従来「政府保証」と呼ばれる安全資産の双璧でした。しかし現在、スイスフラン円は急激に上昇しています。
これは何を意味するのでしょうか。投資家が「より安全な資産」を求めて、円からスイスフランに資金をシフトしているのです。円の安全資産としての地位が揺らいでいる証拠と言えるでしょう。
投資への示唆:なぜ日本こそビットコインを保有すべきなのか
複合的な上昇要因
以上の分析から、ビットコインには以下の複合的な上昇要因があることが分かります:
- グローバル要因
- 関税政策によるインフレ加速
- FOMCのハト派転換
- 機関投資家の参入継続
- 日本特有の要因
- 円の安全資産地位の低下
- 構造的な円安圧力
- 財政悪化による通貨不安
円建てビットコインの優位性
特に日本の投資家にとって重要なのは、円建てでのビットコイン投資が二重の恩恵を受ける可能性があることです:
- ドル建てビットコイン価格の上昇
- 円安による為替差益
これにより、ドル建てビットコインよりもさらに強いパフォーマンスが期待できる状況にあります。
まとめ:構造変化を理解した投資戦略を
今回の分析を通じて明らかになったのは、表面的なニュースに惑わされることなく、政策の本質と構造的な変化を理解することの重要性です。
「関税政策でビットコイン下落」という一般的な見方は、以下の要因を見落としています:
- 関税がもたらすインフレ圧力
- 政策決定者の利害関係
- 金融政策の方向性
- 通貨の信頼性変化
今後も短期的な価格変動はあるでしょう。しかし、構造的な上昇要因は依然として強固に残っています。特に日本の投資家にとっては、円安という追加的な要因もあり、適切なリスク管理のもとでビットコインへの配分を検討する価値は高いと考えられます。
重要なのは、感情的な判断ではなく、データと構造に基づいた冷静な投資判断を行うことです。
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