久しく見ていなかった両親の顔を見に四国の田舎に帰省していました。
私の父は昭和一桁生まれ。第二次世界大戦の頃に学徒動員で飛行機の格納庫を作りに働きに出ていた時のことを教えてくれました。
受け取っていた給与が五十円。十円は学校費用に天引き、三十円は積み立てに回り、残りの十円が手元に入ってきたとか。
その時の十円の価値を聞いてみると、今の1万円くらいだろうという話を聞く傍ら、日銀が発表したマイナス金利に思いをはせました。
私たちは、否が応でもリスクの中に生きています。
リスクという言葉は、変化と置き換えても良いでしょう。
「現金」は変化を見えづらくします。
手元に1万円があれば、その価値は変わらないと思ってしまいがちです。
なぜなら、通貨は何かの価値を計測することが役割の1つである一方、その「計測ツール自体の価値」を計測するには、視点を変える必要があるからです。
私の父が話してくれた昔の10円が今の1万円という話を聞くと、時間的な変化はイメージすることができます。
70年ほどの期間を経て現金の価値が千分の1(10円÷1万円)になったわけです。
1トンの米を買うことができた現金をタンスに入れておいたら、買える米の量が1キロに減るというオチは、現金のリスクをイメージさせてくれます。
そんななかでも、小さいながら金利は付き、ドロボーに入られる危険はなく元本は減らないという納得の逃げ先になっていたのが銀行預金でした。
そして今回のマイナス金利。
もちろん、これまでも預金金利を上回る通貨が印刷されているわけで、実質的にマイナス金利であったことは事実です。
また銀行の普通預金にマイナス金利が即座に適用されないことも事実です。
それでも今回のマイナス金利は、多くの人に「世の中に価値変動リスクから逃れられる資産など無い」というメッセージを発しているように思えます。
株式やコモディティを保有していれば、日々の価値変動リスクにさらされます。
不動産を保有していれば、価値の変動や滞納・空室リスクを持つことになります。
仮想通貨を保有すれば、価値の変動と保管リスクを抱えることになります。
そうしたリスクから一見切り離されているように見えていた「現金」でさえ、実は目減りするリスク資産であるということが明示されたわけです。
こうした時代、私たちには何ができるのでしょうか?
一つ確実なのは、まず現金でさえも価値の変動からは逃れられないという事実を受け止めることでしょう。
次にマイナス金利が加速して、銀行に預けたお金が目減りしたり、住宅ローンを借りたら金利をもらえたりというアベコベな時代が来た時にどうするかをシミュレーションしておくことだと思います。
そのためには、金融の知恵を学び身に付けておくことこそが、今すぐ始められる準備だと言えるでしょう。
別にFXと関係なくても良いと思います。
私自身は勤め人をしていた時代に、空き時間を使ってフィナンシャルプランナー2級の資格を取りました。
その学習過程でわかったのは、世の中の法律や決まりは、その時の都合と建前とを保つためにできたツギハギだということです。
だから、国や制度に足りないところはありますし、それはある意味で仕方ありません。
なぜなら世の制度は先に起こる現象を追って、後から整備されてくるものだからです。
ローソク足が先に走って、移動平均線が後から追いついてくるようなものです(笑)
だから不満を並べ立てるのは他の人に任せ、ものすごい変化が起きている時代の中で、学びを面倒がらず、始め、続け、その中で自分なりの対処方法を見つけていくことが必要になるのだと思います。
それにしてもピンチに思えるマイナス金利時代は、捉え方によれば新しいチャンス満載です。
また機会があれば、そうした可能性についても触れてみたいと思います。
ハッピー・チャレンジ!!
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