「今すぐお金を送りますので、どうか教えてください」とメールが届いたのは、まだ私が米国にいたころでした。はい、そうですね。詐欺です!当記事では、熱心な生徒さんを装った人にお金を騙し取られかけた私の恥ずかしい経験をシェアしてみたいと思います。
生徒さんといってもトレードとは全く関係なく、在米時代に空き時間を使って日本語を教えるボランティアでもしてみようと、CraigsListという有名な掲示板に書き込んだ時のことです。
そこにSir Englewoodとかいうカッチョイイ名前の紳士からメールがきました。
「息子が夏休みに米国へ行くのだがブラブラさせたくないのでお金を払うから面倒を見てほしい。日本語を教えるのに必要なお金は先に送ります!」
いま考えれば怪しさ100%ですよね。ただ、その時は知り合いを作ろうと思って、次のような間抜けな返事をしていました。
「お金は要らないけれど、テキスト代が必要になればその時に言うよ。」
次の返事。
「いや、Nanny(面倒を見る人)にもお金を渡さないと行けないから、先に$3,000(約30万円)を送る。テキスト代を引き落としてから指定のNanny宛に送金してもらいたい」
そこで興味本位で送ってもらおうとしたアホな私。ノコノコと当時住んでいたアパートの住所を伝え、そんなお金は届かないだろうとタカをくくって面白半分で待っていました。
そしたらね、届いたんですよ!封筒が。中には立派に$4,000が刻印された小切手が入っています。ナニゲに言っていた金額より大きい!
米国に行ったことがある方ならご存知だと思いますが、米国で銀行口座を開くと小切手帳を渡してくれます。だれでも使う一般的なもので、電気代や学校の小さな寄付金なども全部小切手で支払うんですね。
とはいえ、届く前後からおかしいと思い始めて(遅い!)、いよいよ届いてからネットで調べてみたんですね。そうしたら似たケースが出てきました。「小切手を換金して残額を送金したら後にバウンスしてお金がなくなる詐欺」とでも名付けられるようなケースでした。
仕組みはこうです。
首謀者はターゲットにニセの小切手を送る
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受け取った人が銀行に持って行って入金処理をする
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銀行は本物か偽物かにかかわらず入金処理を完了させる
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入金した一部のお金を現金でおろし、言われた送金先に送る
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3日ほどすると銀行から小切手が落とせなかった旨の連絡が入る
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口座からバッサリと入金分が引かれ、別の費用までとられる
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送金した相手とは当然連絡が取れなくなる。
ポイントは銀行の窓口で預けた小切手がすぐに換金できる点ですね。もう7年も前の話なので、今はどうなっているか分かりませんが、当時はそうでした。
というのも、米国では多くの人が給料を2週間に一度小切手で受け取ります。ところが結構な確率で消費全開の生活をしているので、受け取った小切手は速攻で銀行に持ち込み換金⇒週末のバーベキューで使ってしまいます(あ、言い過ぎた。そういう人もいます)
ですから、持ち込まれた小切手が引き落としになるまでお金を渡せませんというと、回らなくなってしまうんですね。
もうちょい突っ込んで話をすると、もちろん個人で銀行口座を持っている人には、会社がADPみたいな給与支払い代行会社を使って直接入金をします。
余談ですがForexFactoryの指標で[ADP Non-Farm Employment Change]とありますが、その代行会社が発表する雇用数の統計でも見る人が多い指標ですね。
さらに余談ですが、6月の本番雇用統計でドル売り電撃サプライズが走った理由の一つは、1日前に発表されるADPの統計が事前予測ほぼトントンだったにもかかわらず、本番のデータがズタボロだったからですね。
話がそれました。
日本だと銀行の口座を作るのも簡単ですが、米国だと結構面倒です。
預け入れ金額が一定以上無いと維持手数料が必要だったり、クレジットヒストリーといって過去に税金を滞納したりすると開設を拒絶されることがあります。
すると小切手で給与を受け取るしか方法が無いにもかかわらず、自分の銀行口座が無いから換金できない。そこで登場するのが小切手換金サービスと言って、手数料を取って小切手を現金化してあげるサービスです。西友と提携しているウォールマートが窓口でサービスを提供していますね。
さらに米国では銀行口座がなくても遠方の人に送金できるサービスがあります。Western Unionという銀行は、ホームセンターなどにATMを置いていて、そこに現金を預けて送金先の人に確認番号を送ると、受取人は近くのWestern UnionのATMから、その番号を入力して現金を引き出せるというものです。
日本でもセブン銀行と提携しましたね。
勘の良い方ならおわかりでしょう。そう、私を騙そうとした人は、小切手を換金して引き出した残りのお金を、指定のWetern Unionの銀行に送金して欲しいと言っていました。しかも私が住んでいたユタから車で20時間もかかるような場所宛てに。
その時点ではさすがの私も詐欺と分かっていたので、最後は消費者保護センターに電話をして事態を伝え、報告したケースナンバーを受け取り、それを詐欺で言ってきた人にメールで送り、詐欺は報告済と行ったらその後は連絡をしてこなくなりました。
いや~、興味本位で動くといろんな経験ができるのは良いのですが、ちょっと怖かったですね。
みなさんも、うますぎる話には注意してくださいね。
ハッピー・トレーディング!!