FX初心者が手を出しやすいペアにクロス円があります。代表的なものにユーロ/円(EUR/JPY)、ポンド/円(GBP/JPY)、オーストラリアドル/円(AUD/JPY)等がありますが、実はこれらのペアは実在しません。
基本的に機関投資家が取引をするのはUSDを介したペアのみで、それ以外のクロスペアクロス円を含む)は間にドルを介在させた「計算ペア」です。
例えば孤島の一部族だけが話す言葉を日本語に通訳する場合で考えます。この現地語の通訳が一人だけいるが、翻訳先は英語だとします。すると、この現地語を一旦英語に訳し、その英語を更に日本語へ通訳するという、2重通訳が必要になります。
- 現地語 →→(通訳1)→→ 英語
- 英語 →→(通訳2)→→ 日本語
同じように直接取引が存在しないペアを取引する場合は、常に間にドルを挟むことになります。例えば「ポンド/円(GBP/JPY)」を「買う」、つまり「円を売ってポンドを買う」場合には以下の流れになります。
- 円売り →→(取引1)→→ ドル買い (USD/JPY ロング)
- ドル売り →→(取引2)→→ ポンド買い (GBP/USDロング)
つまり、ポンド円(GBP/JPY)の買いポジションを10保有することは、ドル円(USD/JPY)を10、ポンドドル(GBP/USD)を10、合計20ポジションを保有することになります。
当然2重取引なのでスプレッドは高く、仮にUSD/JPY = 2 pip, GBP/USD = 3 pip であれば、USD/GBP = 5 pip となります。(なぜクロス円のスプレッドが高いか、お分かり頂けると思います)
では基本ペアと計算ペアの値動きの関係ですが、大まかに以下の4つとなります。
- USD/JPY 「↑」 × GBP/USD「↑」 = GBP/JPY 「↑↑」
- USD/JPY 「↓」 × GBP/USD「↓」 = GBP/JPY 「↓↓」
- USD/JPY 「↓」 × GBP/USD「↑」 = GBP/JPY 「→」
- USD/JPY 「↑」 × GBP/USD「↓」 = GBP/JPY 「→」
もちろん 1 と 2 がツボに入れば大量のpipを稼げますが、 3 と 4 の場合はクロスペアが止まってしまいます。さらに厄介なのは以下のような場合です。
5. USD/JPY 「→」 × GBP/USD「↓」 = GBP/JPY 「→↓」
つまりケーブル(GBP/USD)が走っている一方で、ドル円が足踏みして値動きが中途半端になる場合です。
こうした現象が起こる理由ですが、ケーブルはテクニカルポイント(例えばピボットポイントなど)まで距離がある一方で、ドル円のポイントまでは距離が近いような場合です。ケーブルはターゲットへ向けて走るも、USD/JPYがピボットで引っかかり、結局ポンド円GBP/JPYは冴えない値動きになるのです。
実際にポンド円のようなクロス円ペアにエントリすると、「ドル円」と「ポンドドル」2ペアの動きを追跡することになり、神経の消耗が2倍になります。つまりプレッシャーに負けて間違った決断をする可能性も2倍になるという事です。
成功を積み重ねて11%の勝ち組に入り続けるためには、確度の高いトレードを続ける事が欠かせません。このためにも「ドルが全て」の章で述べたように、ドル絡みから自身に相性の良いペアを2-3種類選び、そのペアのみで勝負するというスタイルをお勧めします。
「稼げるpipが大きい方が良い!」という思いも理解できますが、FXの強みはレバレッジを自分でコントロール出来る事です。仮にGBP/JPYで150pipをポジション10で目指すなら、GBP/USDで75pipをポジション20で目指した方が、勝ちの可能性は高くなります。
そうですよね、日本円が貿易でで取引されてるのって米国だけなんですよね。
(最近は中国とも取引はあるそうですが(´<_` ))
あ~なんで今まで気が付かなかったんだろう・・・。