
11月11日 ビットコイン市場コメント
2025年11月11日
ビットコインは11月9日、米国政府閉鎖の終了合意という重要なニュースを受けて反発しました。40日間続いた史上2番目に長い政府閉鎖が終わるとの報道により、月曜日には$105,000を上回る水準まで回復してきています。
ビットコイン (BTCUSD) チャートはこちら!しかし、この動きを冷静に見ると、本格的な強気相場の始まりというよりは、「一旦の安堵買い」という色合いが強いように思われます。実際、ETF市場への資金流入はほぼゼロでした。大口投資家は様子見の姿勢を崩していないのです。
今回は、表面的には見えにくい市場の本質的な動きを、わかりやすく解説していきます。
📊 今週の市場概況:回復の兆しと慎重な大口投資家
興味深いのは、予測市場のPolymarket(ポリマーケット。簡単に言えば、イベントの結果に賭けるプラットフォーム)で取引されていた「政府閉鎖がいつ終了するか」の確率推移です。終了合意の直前まで不透明感が強かったことが、市場の慎重姿勢につながっていました。
💡 重要なポイント:
政府閉鎖が終わったのに、なぜビットコインは大きく上がらないのでしょうか?答えは「大口投資家がまだ本気で買っていない」からです。
🔍 半年ぶりの買いシグナル点灯!でも本当に買い時なの?
いくつかの客観的な数字を確認していきましょう。
まず、ドル流動性とビットコインの乖離を追跡している中銀ハンター(機関投資家の間で参照される流動性分析ツール)においては、3つのシグナルが同時に発生しています。
🎯 これは何を意味するの?
長期・中期・短期のすべてで買いシグナルが点灯しました。これが揃って発生したのは2025年において4月まで遡る必要があります。つまり半年ぶりのシグナルなのです。
もちろん、これだけで「今すぐ買いだ!」と断定できる状況ではありません。しかし、比較的サポート(下値支持)が入りやすい水準であると考えることはできるのではないでしょうか。
📅 イーサリアムに見る「ショート踏み上げ」の予兆
短期デリバティブ(先物やスワップ取引)の水準を見てみると、特にイーサリアムで調達金利がマイナス水準へと突っ込んできています。
🤔 調達金利って何?
調達金利とは、無期限契約(満期のない先物取引のようなもの)で、ロング(買い)とショート(売り)の需給バランスを調整するために、一方がもう一方に支払う金利のことです。
- 通常:価格が上がると思う人が多い時 → ロング側がショート側に金利を払う
- 現在:価格が下がると思う人が多い時 → ショート側がロング側に金利を払う(マイナス金利)
現在、調達金利がマイナスということは、ショート側が金利を支払っている状態です。これは、デリバティブ市場の参加者が高いレバレッジをかけたポジションでショートを先行保有していることを表します。
💡 投資家にとっての意味:
イーサリアムにおいては約$3,500の水準からは一旦ショートの買い戻し(踏み上げ)が発生しやすいと考えることもできます。
ショートポジションを持っている投資家は、価格が上昇し始めると損失を限定するために買い戻しを余儀なくされ、それがさらなる価格上昇を引き起こす可能性があるのです。
💡 トレジャリー企業の「プレミアム崩壊」に変化の兆し
もう一つ、プロの投資家が注目している興味深い動きがあります。
ビットコインを大量保有する企業(トレジャリー企業)の株価プレミアムの下落にも、一定の歯止めがかかる可能性があります。
ヘッジファンドマネージャーのJames Seyffart(ジェームス・セイファート)氏がSNSでツイートしたところによれば、11月8日の時点で、彼はStrategy(ストラテジー。旧MicroStrategy)売り・ビットコイン買いの両建てポジションを解消したと記述しています。
📚 両建てポジションって何?
これは、Strategy社の株を空売りする一方で、同じ価値のビットコインを買う戦略です。
Strategy社はビットコインを大量保有しているため、その株価はビットコイン価格に連動します。しかし、株価には「プレミアム(割増料金)」が上乗せされていました。
このプレミアムが縮小すると予想して、空売りとビットコイン買いの両方を仕掛けたのです。
さかのぼってStrategy社のNAVプレミアム(純資産価値に対する株価の割増率)を確認してみると、彼らがポジションを開いた2025年5月14日近辺では、NAVプレミアムが1.94倍だったのに対し、解消した時点では1.05倍近辺となっており、ほぼ倍額の利益を出したことが見て取れます。
📊 利益の内訳
- ビットコイン部分:当時$104,000 → 現在$104,000(±ゼロ)
- Strategy株部分:$416 → $250割れで決済(大幅な利益)
つまり、ビットコインの価格が変わらない中で、株価のプレミアム縮小だけで利益を上げたのです。
💡 これが意味すること:
もちろん、これがビットコインの上昇につながるという話ではありません。
しかし、少なくともビットコインの下落を牽引してきた一つの要因である「トレジャリー企業のNAVプレミアム下落」は、一旦その速度が緩まる可能性があるという市場のメッセージにもなり得るのではないでしょうか。
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