こんにちは、佐々木徹です。
今週、金融市場を揺るがす大きなニュースがありました。トランプ大統領がケビン・ウォーシュ氏を新FRB総裁に指名したのです。
市場の反応は激烈でした。ビットコインは急落し、ゴールドは30年ぶりの下落幅を記録しています。多くの投資家が「タカ派の登場だ」と表面的に受け取っているのですが、私はまったく違う見方をしています。
では、なぜ市場はこれほど過敏に反応したのでしょうか?
実は、ここには非常に興味深い戦略が隠されているのです。
「鷹をもって鷹を制す」の真意

私がウォーシュ指名を見て最初に思い浮かべたのは、1972年のニクソン大統領の中国訪問でした。
ニクソンは共和党の中でも筋金入りの反共主義者として知られていました。マッカーシズム時代から一貫して共産主義と戦ってきた人物です。では、なぜそんな彼が中国との国交正常化を成し遂げることができたのでしょうか?
答えは簡単です。反共の権化だったからこそ、「裏切り者」という批判を受けずに歴史的転換を実現できたのです。
つまり、これがトランプの真の狙いなのです。タカ派の信用力を使って、実質的にはハト派の政策を通すという高等戦術なのです。

ウォーシュという人物を理解する
ケビン・ウォーシュとは何者なのか。経歴を見ると非常に興味深いのです。
スタンフォード大学を卒業後、モルガン・スタンレーでキャリアをスタート。そしてブッシュ政権時代、史上最年少の35歳でFRB理事に就任しました。その後はスタンフォード大学のフーバー研究所でフェローを務めています。
これがどれほど異常なキャリアかというと、FRBの内部を知り、ウォール街を知り、ワシントンを知り、さらにトランプとも個人的関係を築いている。この組み合わせを持つ人物は他にいないのです。
さらに興味深いのが彼の哲学です。人為的な金融政策には基本的に反対の立場を取りながらも、システマティックリスクが発生した時には断固として行動するプラグマティストなのです。
実は、2008年の金融危機の際、彼はこう発言しています。「誰もバイサイドしない、トレジャリーオークションに誰も現れない時は、最後の出し手であるFRBが出ないと崩れる」
これがどういうことかというと、QE(量的緩和)はやめる方向だが、利下げ自体には否定的ではないということです。現に、フェドウォッチでは年内2-3回の利下げが織り込まれているのです。

病院のベッドの比喩
ウォーシュの考え方を病院に例えると分かりやすいのです。
風邪をひいた人でベッドを埋め尽くしてしまっては、本当に大病を患った人が入院できなくなってしまいます。だからこそ、真に必要な時のためにリソースを温存しておく。これが彼の哲学なのです。
つまり、フェドプットが完全に消滅するわけではなく、真に必要な時にのみ介入する健全な姿勢への回帰を意味しているのです。
「間違えた経験のある人間の方が突っ走らない」というのは、まさにウォーシュのような人物を指しているのでしょう。
アメリカのプラグマティズムの真髄
この一連の人事を見て、私は正直「やっぱりアメリカはすごいな」と感じました。
パウエルは利下げ拒否で市場を混乱させてしまいました。しかし、ウォーシュなら違います。タカ派という看板があるからこそ、必要な時にはハト派的な政策をやり切ることができるのです。
さらに興味深いのが、ベッセント財務長官の「介入は絶対しない」という発言です。これは市場メカニズムを最大限尊重するという方針の表れなのです。
だからこそ、表面的な「タカ派登場」という見方は完全に的外れなのです。
今週のレポートではさらに…
このウォーシュ指名の影響は、各市場で異なる形で現れています。
ビットコイン:半減期サイクルは生きていた
急落の背景にはステーブルコイン発行残高の大幅減少があります。しかし、前回高値$68,000がターゲットという見方は変わりません。
ゴールド・シルバー:30年ぶりの下落の真因
証拠金制度変更が主因であり、ファンダメンタルズの崩壊ではありません。「悪魔の金属」シルバーの動向にも注目です。
原油:シェールとの攻防
62ドルで新規建て確認。シェール採掘コストとの重要な攻防が始まっています。
為替:円の158ライン、ドルの限界値
レートチェック後の介入なし宣言、そしてレバレッジファンドのドル売り限界値到達という重要な局面です。
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