📊 今週の市場概況
ビットコインは90,000ドルから94,000ドルのレンジで推移しています。
12月10日のFOMC(米連邦公開市場委員会。簡単に言えば、アメリカの金融政策を決める会議)では、市場予想通り0.25%の利下げが決定されました。同時に、2025年の利下げ見通しが4回から2回へと下方修正されています。
この発表を受けてビットコイン価格は一時90,000ドルを割り込みましたが、すぐに価格が戻る「行って来い」の値動きとなりました。興味深いのは、スポットETF(上場投資信託。簡単に言えば、株のように取引できるビットコインの投資商品)には223百万ドルの資金流入があったことです。これは11月23日以来のまとまった流入となっています。
さらに重要なニュースとして、12月2日から3日にかけて、運用資産約9.3兆ドルを持つ世界第2位の資産運用会社Vanguard社が、長年の方針を転換し、暗号資産ETFの取引を自社プラットフォームで許可すると発表しました。
🔍 ポジション分析:2025年寄り付き価格がレジスタンスに
現在のビットコイン市場を理解する上で、最も重要なポイントは「2025年の寄り付き価格」が上値を抑えているという点です。
下のチャートをご覧ください。
図1:ビットコイン価格推移と主要イベント(日足チャート)
図2:ビットコイン価格とCME先物、ユーロドル相場の比較
このチャートから、いくつかの重要な示唆が読み取れます。
まず、FRBの利下げというプラスの材料があるにもかかわらず、ビットコインの上昇は限定的です。これは何を意味しているのでしょうか?
答えは「やれやれ売り」です。つまり、2025年をプラスで終えたい投資家たちが、94,000ドル付近で利益確定の売りを出しているということですね。
興味深いのは、ユーロドルとの比較です。FOMC後、ドルインデックスは下落(ドル安)し、ユーロは上昇しました。通常、ドル安はビットコインにとってプラス材料のはずです。
しかし、ビットコインの上昇は限定的でした。これは、94,000ドルという「心理的な壁」が、いかに強固であるかを物語っています。
📅 イールドカーブのスティープニングが重石に
もう一つ、ビットコインの上昇を抑えている要因があります。それが「イールドカーブのスティープニング」(利回り曲線の傾斜化)です。
少し専門的な話になりますが、できるだけ分かりやすく説明しますね。
新しいFRB議長候補のハセット氏は、短期的な利下げを推し進めると見込まれる一方で、長期的な財政不安が懸念されています。その結果、長期金利が上昇(債券価格は下落)し、短期金利が低下するという現象が起きています。
この「短期金利は下がるが、長期金利は上がる」という状況を、専門用語で「スティープニング」と呼びます。
図3のチャートの上部に注目してください。米国債の利回り曲線がスティープニング(傾斜化)している期間、ビットコインは横ばいで推移し、上値が抑えられている様子が確認できます。
歴史的に見ても、このような金利環境下では、ビットコインは上値が重くなる傾向があります。
💡 先物曲線から見る市場心理
現在の先物曲線(将来の価格予想を示す曲線)も、市場の迷いを示しています。
90,000ドル以下での現物買い支えと、94,000ドルでの売り圧力に挟まれ、どっちつかずの方向性のない状態です。
図3:CMEビットコイン先物価格とBTC-BTC1スプレッド(先物曲線の形状)
このチャートの下段に注目してください。BTCとBTC1の価格差(スプレッド)を示しています。
先物曲線がフラット化しているということは、市場参加者が「今すぐ上がる」とも「すぐ下がる」とも確信を持てていない状態を示しています。
ただし、注目すべきは先物曲線の「形」よりも、90,000ドルでの鉄板の支持線の存在です。これは、現物の大口買い手が90,000ドル以下では積極的に買い向かっていることを示唆しています。
💡 ここまでのポイント
- ✅ ビットコインは90,000-94,000ドルのレンジで膠着
- ✅ 94,000ドルには「やれやれ売り」の壁が存在
- ✅ 90,000ドルには強固な現物買い支えが確認される
- ✅ イールドカーブのスティープニングが上値を抑制
- ✅ 先物曲線はフラット化し、方向感が出ていない
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短期トレンド(1〜2週間)
- サポート水準: 90,000ドル(現物買い支えが強固)
- レジスタンス水準: 94,000ドル(2025年寄り付き価格)
- 注目イベント: 12月12日のFRBによるTビル購入開始
市場環境
- ドル流動性: タイトな状態が継続中
- 金利環境: イールドカーブのスティープニングが上値を抑制
- 先物市場: 方向感のないフラットな状態
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