ゴールドの話をすると、決まって返ってくる言葉があります。「うちの証券会社では取引できません」。
CFDの口座を作っても、スワップや手数料が重い。レバレッジも怖い。その感覚は、間違っていないと思います。相場観の前に、口座と手数料で足が止まる。これはかなり多くの人が経験していることです。
ただ、日本株の口座なら、すでにお持ちの方が多いはずです。
金鉱株という、もうひとつの入り口
松田産業(7456)という会社があります。貴金属リサイクルの会社で、営業利益に占めるゴールド関連の比率が高い。だから株価がゴールドと連動しやすい。いわゆる金鉱株です。
どれくらい連動するのか。2016年1月をどちらも100として、10年間走らせてみました。
10年後、両方とも526でした。相関係数は0.95です。
途中はそれなりに荒れています。2020年に株が置いていかれたり、2021年に一人で跳ねたり。ただ、10年を通して見れば、同じ方向を向いて同じ場所に着地しています。ゴールドを直接持たなくても、値動きの大部分は日本株の口座から取りにいける、ということです。
そして、この銘柄に、ドル流動性のシグナルツールである中銀ハンターをそのまま当ててみました。

日本株なのに、シグナルが素直にはまっていることが分かります。下の段のレーンを見れば、その日どの流動性指標が反応していたかまで追えます。
使い方には、ひとつだけ注意があります。買いシグナルは買いの候補に、売りシグナルは利確候補にのみ使う。空売りには使いません。中央銀行が買い続けている相場では、売りから入るのは分が悪いからです。中銀ハンターを「買い場を探す道具」と繰り返し書いているのは、このためです。
利確シグナルが、素通りされた日
中銀ハンターは、ドルの流動性に対して割安か割高かを見ています。だから、ゴールドを動かしているエンジンが別のものに切り替わると、挙動が変わります。

2025年の秋、4,000円台で利確シグナルが出ました。ところが株価は止まらず、8,700円台まで走りました。
背景にあったのは、米国債の格下げです。ドルから逃げた資金が、質への逃避としてゴールドに流れ込んだ。財政への不信が上昇のエンジンになっているとき、ドル流動性の利確シグナルは素通りされます。そして素通りされたときの上昇は、激しいものになります。
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。シグナルが効かないこと自体が、情報になります。利確水準が何度も点くのに止まらない。それは「別の燃料で走っている」という合図です。ツールが外れたのではなく、相場の駆動源が入れ替わったことを、ツールが教えてくれている。
値幅は増幅される。上にも、下にも
金鉱株は、ゴールドそのものより値幅が増幅されやすい銘柄群です。レバレッジを使わずにこの振れ幅が取れるのは魅力ですが、下がるときも同じだけ振れます。8,700円台をつけたあと、大きく調整していることも、そのまま書いておきます。動画の最後のほうで両方の線が大きく上下しているのが、まさにその区間です。
だから、入り口が広いという話であって、リスクが小さいという話ではありません。ここを取り違えないでください。
それでも、特別な口座は要らないという事実は残ります。いつもの日本株の画面に、ドル流動性という一段を足すだけです。ゴールドを直接触れないことを理由に、この視点ごと諦めてしまうのは、もったいないと思います。
中銀ハンターについて
この記事で使ったツールが、中銀ハンターです。中央銀行のバランスシート、金利差、ステーブルコインという3つのドル流動性指標を監視して、割安・割高のシグナルをチャート上に表示します。今回追加した補助パネルのCB Hunter Matrixが、下段でその内訳を見せてくれます。
※ 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。過去の値動きであり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

