あなたは自分の投資口座のパスワードを忘れたことはありませんか?もしくは、昔購入した仮想通貨のことをすっかり忘れていた経験は?2週間前に残した指値を忘れて約定アラートで驚いたことは??
そんな「うっかり」が、思わぬ資産家への道を開くかもしれません。
このたび、Mt.Gox事件で10年以上も資金を凍結されていた投資家たちが、予期せぬ大金を手にしました。彼らの「被害」は、なんと約200倍を超える価値に膨れ上がったのです。
以下は「ビットコインに破産法の壁〜マウントゴックス、破綻10年でようやく弁済 「現金主義」の限界露呈」、2024年8月26日の日経新聞要約です。
マウントゴックス破綻から10年、7月に仮想通貨弁済開始。破産法の現金主義が処理を難航させるあいだ、当初5万円だったビットコイン(BTCUSD) が800万円超まで急騰。債権者への不利益を避けるため、異例の民事再生へ移行。債権者3.6万人超の対応に膨大な時間がかかった。
日本の法整備がテクノロジーに追い付いていなかったために異例の時間が経過し、その間にビットコイン価格が暴騰してしまったということですね。
もし破綻事件がなければビットコインを安値で手放していたであろう保有者も、結果的に見上げるような上昇ベネフィットを手にすることとなりました。
「えっ、それって単なる幸運じゃないの?」
そう思われるかもしれません。しかしこれは偶然ではなく、投資の世界で繰り返し確認されている現象だったりします。
結果的に最高のリターンを叩きだしている口座には、ある共通点があります。それは…
「アカウントの存在を忘れて放置していた」
はい、あなたの目は誤読していません。なぜ「放置する」ことが最強の投資戦略になってしまうのか。その秘密を、心理学と行動経済学の視点から考えていきましょう!
最高のパフォーマンスを出したのは「忘れられた」口座だった
米国の大手金融サービス会社のフィデリティは、2014年に自社内で開設されていた口座保有者を分析し、最高のパフォーマンスを示した口座を特定しました。
以下は、それを報じたビジネスインサイダー内からのやりとりです。
オショーネシー:「フィデリティが、どの口座が最も成績が良かったかについて調査を行ったんです。そして彼らが発見したのは…」
リトホルツ:「口座の持ち主が死んでいた?」
オショーネシー:「…いや、惜しい!正解は、口座を持っていることを忘れていた人たちの口座だったんです。」
出典;フィデリティが最高の投資成績を収めた人を調査した結果が驚愕の面白さ(2014年、ビジネスインサイダー)
今回のMt.Gox弁済で起きたのは、口座保有者の全員が強制的にアクセスを遮断されていたということ。「忘れられて」いようと「強制的に遮断されて」いようと、口座保有者が売買できない状況にあったことには同じですね。
平均的な投資家のリターンは平均値に負ける
私たち投資家は、どうにかして市場の平均値を上回るリターンを出そうと、いろいろな試みを行います。ですが全体を俯瞰すると、「放置していた方がリターンが良い」という結果になってしまうのは、昨今のリサーチ結果で明らかになっています。
この背景については、「Vol.259 短期トレードは富の敵!?1万人の投資家データが示す真実とは?(2024年5月13日)」でも関連するデータを取り上げました。
内容としては、個人投資家の短期取引は売買コストの増大で収益を損なう傾向があり、取引頻度が低い投資家の方が高い年間リターンを得ている・・・というカリフォルニア大学バークレー校のオディーン教授の研究を紹介したものでした。
それ以外にも、たとえば下のグラフはリチャード・バーンスタイン氏が1993年から2013年まで20年間にわたる資産クラスごとのリターンを調べた結果です。
出典はビジネスインサイダーより
左側から順に、エネルギー・ヘルスケア・情報テクノロジーとトップランカーが続きます。
ずーっと下がっていって、下から4番目(赤い縦棒)が平均的な投資家のパフォーマンスを表しています。
なお最低のパフォーマンスをたたき出しているのがJapan、つまり日本株であるのは、ご愛敬ですね。日本の株価は1990年にバブルがはじけてから下落一直線でしたから、これは切り取った期間による偏りと考えておきましょう…
以上は、ビットコイン研究所さんへの寄稿記事(原文はこちら)より前半部分を公開してお送りいたしました。
続きの記事では、イーサリアムの先物曲線から見える価格動向の分析を行いつつ、それを自らの手で実行するときに陥りがちな間違いの罠も明らかにしています。
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