ゴールドを拾うファンド、原油で踏まれるショート、BTCの諦めムード──今週のデータ全部見せます

金曜日に飛び込んできた最高裁の関税違憲判決。株価は急落しました。
でも、それだけが今週のマーケットではありません。

もっと静かに、でも確実に動いている資金の流れがあります。ゴールドに入り始めたファンドの打診ロング。原油のショートスクイーズ。ビットコインのオプション市場が出し始めた底値シグナル。

今週はデータから、その「静かな変化」を掘り下げていきます。


ゴールド:誰も買っていないのに、なぜ下がらないのか

「ゴールドは高値圏だから、そろそろ調整が来る」──よく聞く話です。

でもCFTCの建玉データを見ると、ちょっと違った景色が見えてきます。

ゴールド先物CFTC建玉チャート

▲ ゴールド先物のCFTC建玉推移。スペキュレーターロングが底値圏に位置しています

スペキュレーターのロングポジションは20万枚割れ。新規の買いがほとんど入っていません。

それなのに価格は下がらない。4000ドル台に落ちてくるたびに拾われています。

🍕 たとえるなら、お店の前に行列がないのに「売り切れ」の札がかかっている状態です。誰も並んでいないように見えるけど、裏口から静かに買われている。CFTC建玉のデータは、この「裏口の動き」を可視化してくれます。

水曜日の時点で、マネージドマネー(ファンド勢)が打診ロングを入れてきています。取組高も2月5日の40万枚から42万5千枚まで回復しました。まだ15万枚分の空きがあります。

「5000ドル割れは買い場」という共通認識が固まりつつあるのかもしれません。この建玉の変化が意味するところは、動画の中でさらに踏み込んで解説しています。


為替:円のネットロング転換──でも「罠」の可能性

円の投機筋ネットポジションが、ついにマイナスからプラスに切り替わりました。

円CFTC建玉チャート

▲ 円のCFTC建玉推移。投機筋のネットポジションがプラスに転換しました

「ネットロング転換=円高加速」と読みたくなります。でもデータをもう一歩掘ると、少し慎重になった方がいいかもしれません。

このタイミングで、トレーダーあたりの玉の数がスパイクしています。大口がぶん回している類の動きです。短期的な値動きにつながりやすいポジションだと考えておいた方がいいでしょう。

過去の例では、投機筋がネットショートに切り替わった水準は159円でした。159円と153円の間の6円レンジを、市場が取引レンジとして見始めている可能性があります。

翌週にはネットロングがネットショートに戻ることも十分あり得ます。

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WTI原油:急騰の正体は「踏み上げ」だった

原油価格が急上昇しました。「イランへの最後通牒」という地政学材料も相まって、強気ムードが広がっています。

でも取組高のデータを見ると、ちょっと違う絵が浮かんできます。

WTI原油取組高チャート

▲ WTI原油の取組高推移。ショートスクイーズの痕跡が確認できます

2月17日時点で取組高は減少。トレーダーはロングを切って、ショートに積み替えていたのです。

その後の急騰局面では、取組高が減りながら価格が上がっています。新規のお金が入ったのではなく、積まれていたショートが巻き戻されて上がっただけのものです。

🎲 ショートスクイーズ(踏み上げ)は、いわば「ババ抜きの最後の1枚を引かされた人が全額払う」ゲームです。EIA在庫統計の予想外の大幅減少(予測-2.5Mに対して-4.5M)がトリガーになって、ショート勢が逃げ出しました。でもこれは「新しいお金が入った」のとは意味がまったく違います。

地政学材料で東京時間に急騰→ニューヨーク時間に反落というパターンはよくあります。月曜日に急騰しても、追いかけない方が無難かもしれません。


ビットコイン:恐怖が飽和した先に何があるか

6万8千ドル。ATH(12万6千ドル)から-46%。年初来で-23%。

数字だけ見ると悲惨です。でもオプション市場のデータは、違うメッセージを発しています。

BTC IV-HV スプレッドチャート

▲ BTCのIV-HVスプレッド(30日平均)。-20到達は過去に底値圏を示唆してきました

IV(インプライド・ボラティリティ)とHV(ヒストリカル・ボラティリティ)の差が-20に到達しました。シンプルに言い換えると、「オプション市場が織り込んでいる将来の変動幅」が「実際に起きている変動幅」をここまで下回るのは、市場が恐怖に飽きた時に起きる現象です。

2021年以降、この水準はリバウンドの起点になっています。

もちろんここからさらに下げる可能性はあります。6万ドルを割ってストップロスをつけてから上昇するパターンもあるかもしれません。ただ、FTXのような「インチキ」がなければ、売る材料がもう残っていないという状況です。

6万7千ドルは前回の半減期の高値です。ETFフローを見ると、ビットコインETFからゴールドETFへの資金シフトが起きています。ビットコインは連日マイナス100ミリオン、ゴールドは2月19日に500ミリオンのプラス。持ち手が変わってきているのです。


まとめ:売る材料がなくなった時、何が起きるか

売る材料がなくなると、静かになります。静かになると、じわじわ買い戻しが始まります。

ゴールドは「誰も買っていないのに下がらない」状態。原油はショートスクイーズに注意。ビットコインは恐怖が飽和した諦めの境地にいます。

今一番もったいないのは、7万ドルを割れたからといって10年後の10倍・20倍をなくしてしまうことかもしれません。為替は円のネットロング転換が騙しになるかどうか、来週が試金石です。

今週の解説では、ここに掲載しきれなかったチャートやデータの詳細な読み方を動画でお届けしています。

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佐々木 徹 / ココスタ・トレーディングカレッジ

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