金が上がっていくニュースを見て、勢いでまとまった額を買った。レバレッジはかけていないし、現物だから大丈夫。そのときは、そう思っていたはずです。
ところが、そこから金がズルズルと下がり始めます。1日ごとの下げは小さいのに、止まらない。
ある夜、証券アプリを開くと、評価損の欄に見たことのない桁の数字が出ていました。頭が真っ白になって、売ることも、買い増すこともできない。ただアプリを閉じて、また開く。
度胸が足りなかったわけではありません。買う前に、下がったらいくら減るのかを、一度も見ていなかった。だから、出てきた数字が「見たことのない数字」になってしまったんですね。
減る金額は、買う前に見ておけます。
9月に公開したロット計算機「このロット、どこまで動く?」は、もともと先物やFXのロット向けでした。今回、レバレッジ1倍の選択肢を追加して、現物でも使えるようにしました。純金積立や金ETF、ビットコインの現物のように、口座資金と同じ額だけ持つ場合の損失の目安が、円で分かります。期間には6ヶ月も加えました。
口座200万円の金は、半年でどれくらい揺れるのか
試しに、口座資金200万円をすべて金に換えた場合で計算してみました。

使うのは、市場がいま織り込んでいる変動率(IV:インプライド・ボラティリティ)です。オプション市場の参加者が「これくらいは動くだろう」と見込んでいる値動きの大きさ、と思ってください。執筆時点の金のIV(GVZ)は21.4%でした。
ここから出した目安は、次のとおりです。
- 1日:普通の揺れで約2.7万円(口座の1.3%)、荒れたときで約5.4万円(2.7%)
- 1週間:普通の揺れで約6.0万円(3.0%)、荒れたときで約12.0万円(6.0%)
- 1ヶ月:普通の揺れで約12.3万円(6.2%)、荒れたときで約24.7万円(12%)
- 6ヶ月:普通の揺れで約30.2万円(15%)、荒れたときで約60.4万円(30%)

1日なら、外食を何回か我慢すれば埋まる揺れです。
ところが半年で荒れると、約60万円。毎月5万円ずつ積み立てている方なら、1年分の積立が消える計算です。レバレッジをかけていなくても、ここまでは動くんですね。
「普通の揺れ」以上に下がるのは、だいたい6回に1回。「荒れたとき」以上は、だいたい40回に1回です。めったに来ないけれど、来ないとは言い切れない数字でしょう。
買う前にこの金額を一度見ておけば、下がった夜にアプリに出てくるのは「見たことのない数字」ではなくなります。前に一度見た、知っている数字です。
耐えられる金額から、逆算する
レバレッジ1倍を選ぶと、ページ下の逆算は「何ロットまで」ではなく「いくらまで」で答えます。
たとえば「荒れた1ヶ月でも、損失を口座の10%以内に収めたい」と入れると、金なら投資額の上限は約162万円(口座の81%)と出ます。全額を金にすると、少しはみ出すわけです。
シルバー・WTI原油・ビットコイン・イーサリアムでも、同じように使えます。ビットコインは金よりIVが高いので、同じ条件でも上限は口座の半分を下回ります。
取引単位もシンプルにしました
選択肢が多くて迷いやすかったので、取引単位を整理しました。どの銘柄も一番上がレバレッジ1倍で、その下に数量の小さい順で並びます。
ゴールドなら「100g・10toz・1kg・100toz」の4つです。tozはトロイオンス(貴金属で使う重さの単位で、約31.1g)のことですね。
結果は「画像で保存」から、そのまま1枚の画像にできます。

金やビットコインを現物で長く持つのは、腰を据えた、まっとうな選び方です。このツールは、その判断に「下がったらいくら減るか」という数字を一つ足すためのものです。
完全無料で、会員登録もログインも不要です。次に買う前に、一度ご自身の金額を入れてみてください。数字を先に知っていれば、下がった日も、ご自身で決めたとおりに動けると思います。
ツールを作ったきっかけは、9月の紹介記事にまとめています。
※ 本記事とツールは、市場の研究と情報提供を目的としたものです。損失額の目安を示すもので、相場の予測や売買の推奨ではありません。実際の値動きは目安を超えることがあります。投資の最終判断はご自身でお願いいたします。

