吉中さんのデスクから
ガソリンスタンドの前を通るたびに、看板の数字を見てしまう。電気代の明細を開いて、そっと閉じる。そんな1か月だった方も多いと思います。
ニュースでは毎日のように「ホルムズ海峡」と聞きます。でも、遠い海の話と自分の家計が、どうつながっているのか。そこが見えないと、不安だけが残りますよね。
実戦トレーディングカレッジの講師で、元チーフディーラーの吉中晋吾さんは、今週のコメンタリでこう問いかけていました。「日本人は原油を『怖い』と思ったことはあるのでしょうか?」。原油は暮らしに溶け込んでいるからこそ、その意味に気付きにくい、という話です。
週末のレポートの題は、「“ホルムズ海峡”とグローバル・マーケットがなぜつながるのか?」でした。
鍵になるのは、原油の先物の値段の並び方です。先物には、来月に受け渡す分、再来月に受け渡す分、というように、月ごとに値段がついています。
ふだんは、先の月のほうが少し高くなります。先まで原油を持っておくには、倉庫代や保険料、お金を借りる金利がかかるからです。これをコンタンゴと呼びます。
ところが、いまはこれが逆になっています。吉中さんは、こう書いています。
足りなくなるかもしれないから、先の原油より、いま手元にある原油がほしい。値段の並びが、その気持ちをそのまま映しているわけです。
ここから先が、金利につながります。
エネルギーの値段が上がると、物価が上がります。物価が上がれば、中央銀行は金利を上げざるを得ません。金利が上がると、原油を翌月まで持っておく費用も上がります。在庫を積み増す理由が薄れて、さらに「今の原油」に買いが集まる。吉中さんは、この輪を「負のスパイラル」と呼んでいます。
もちろん、すべてが理論どおりに動くわけではありません。それでも、はっきりと循環する関係がある、というのが吉中さんの見方です。
遠い海峡のニュースは、ガソリン代と、世界の金利の両方につながっています。原油の値段を見るときは、今月の値段だけでなく、先の月との並びも見てみる。それだけで、ニュースの聞こえ方が変わってくるはずです。
今週のトレード通信から
その原油は、この1週間でまた上がりました。WTI(アメリカの代表的な原油)は、100ドルを超えて週を終えています。
ガソリン代は、まだ上がるのか。そう身構えている方も多いと思います。
では、先物のどの月が、いちばん上がったのか。
いちばん上がったのは、目の前の月ではなく、来年2月の値段でした。
本当に原油が足りないときは、いちばん近い月が伸びます。今回は、そうなっていません。
トレード通信では、こう読んでいます。11月3日の米中間選挙の前は、大統領が票のためにガソリンの値段を抑えにいく。市場はそれを織り込んで、近い月の値段を抑えている。選挙が終われば、その必要は薄れます。
つまり、市場が身構えているのは、今ではなく、選挙のあとです。
もうひとつの面もあります。値段が99ドルと2桁に落ちたところで、新しい買いがすぐに入ってきました。踏み上げではなく、新しいお金です。以前より一段上の値段で、押し目買いが入るようになっています。
誰が、どの値段で、どの月を買っているのか。トレード通信では、そこを毎週追いかけています。
佐々木のトレード通信も、吉中さんのコメンタリとレポートも、実戦トレーディングカレッジで読めます。7日間は無料です。
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BWF(ビットコイン週間フォーキャスト)から
8万ドルの上に、なかなか落ち着かない。そこへ、バイナンスのハッキングのニュースです。ビットコインは一時、7万7,000ドルを割り込みました。
半減期のサイクルでいえば、上がる時期に入ったはずなのに。そう首をかしげている方も多いと思います。
ビットコインだけを毎週掘り下げているBWF(Bitcoin Weekly Forecast)の10月29日号は、題を「先回りされた半減期サイクル」としました。
ビットコインには、新しく生まれる量が4年ごとに半分になる、半減期という節目があります。次は2028年4月中旬です。その1年半ほど前から上がり始める、という見方は広く知られていて、今回は10月11日がその入り口でした。
みんなが知っている合図は、先回りされます。
人は学びます。1年半前から上がると分かっていれば、その前に動く人が出てきます。BWFでは、8月中旬の急な上げを、その先回りだと見ています。横ばいだった値段が、19日から20日の2日間で一気に駆け上がりました。
これまでのサイクルでは、入り口から1か月ほどのあいだに、大きな下げが来ていました。BWFは、その下げも前倒しで済んでいて、6月末から7月初めに終わっていた、と見ています。
もちろん、下げがまだ来ていないから、まだ買えない、と考える人もいるはずです。BWFも、これは多くある見方のひとつだと断ったうえで、暦のアノマリーだけで11月を判断するのは乱暴ではないか、と書いています。
暦だけで売り買いを決める前に、その暦をほかの誰が見ているのかを考えてみる。それだけで、ニュースに振り回されにくくなるはずです。
お知らせ
11月6日(金)の夜に、新宿で小さな勉強会を開きます。ビットコインを取引所に預けるか、自分で鍵を持つか。情報漏洩が続く今、その線引きを、ホッブズの『リヴァイアサン』を手がかりに話します。
無料で、何かを販売することもありません。録画も、後日の公開もありません。会場が小さく20名までなので、承認制です。
この1週間でいちばん読まれた話
月曜になったばかりの深夜に、Xでこんな投稿をしました。
10月24日、英国政府が国民に3日分の備蓄を呼びかけた、というニュースが流れました。サイバー攻撃や気象災害に備えるためです。それを受けて、災害時に家にこもるための備蓄リストをまとめた投稿が広く読まれていて、そこに付け足す形で書いたのが、この投稿です。
25.3万回表示。この1週間の2位の投稿の、40倍以上読まれました。
短い投稿なので、たぶん伝わらないだろうな、と思いながら書きました。頭の中にあったことを、ここで補足します。
緊急の備えと聞くと、水や食料をそろえることを思い浮かべます。それも大切です。でも、人と交渉して何かを分けてもらうなら、現金がいちばんです。
本当は、ビットコインと書きたいところでした。ただ、いまの日本で、ビットコインで受け取りたいという人は少数派です。
災害のときに、水や燃料を誰かから手に入れる。そのときに渡すものは、相手が必ず受け取ってくれるものでなければなりません。
なぜでしょうか。
お金としてめぐるには、相手が、その次の相手も受け取ってくれると信じられている必要があるからです。
その意味で、ビットコインは、人類にはまだ早い。というより、いまはまだ、その段階にないのだと思います。だから、千円札にしました。
ただし、国境をまたいで出ていかなければならないときには、千円札は役に立ちません。
そもそも、国を出ざるをえない状況は、国の管理する力がなくなっているときである可能性が高い。そうなれば、お札を受け取らせる国の力(強制通用力)も、もう働いていないのです。
備えるものを選ぶときは、相手が、その次の相手も受け取ってくれるかを考えてみる。それが、あの投稿に込めたことでした。
最後に、プレイヤーズのお知らせです
金が4,000ドルを割った週、売っていたのは誰だったのか。建玉とETFの動きから、動画で話しました。
金を買い増していい週と、手を出さずに待つ週。その二つを、ファンド、銀行、金鉱会社、小口という4人のプレイヤーの足跡から、毎週のスコアで見られるのが、講座「プレイヤーズ」です。10月30日には、買わずに待つ週を知らせる「待つ合図」も加わりました。
ダッシュボードで過去にさかのぼって見ると、金がいちばん高かった2月24日の週に、この待つ合図が点いていました。そこから夏にかけて、ほぼ毎週、点き続けています。
この合図が、毎週末に届きます。
プレイヤーズは30万円で、COTの連載75講(単体98,000円)が付きます。14日間の返金保証がついていて、本編の最初の2本(約23分)は無料で見られます。
この記事は、週に一度メールでお届けしている「まとめ便」の第4号です。トレード通信、吉中さんの講義、BWFから、その週にいちばん面白かった話をひとつずつ選んでお届けしています。








