指標発表とプライスアクション

7月3日に発表された雇用統計指標の発表では、事前予測214Kに対して288Kと予測を35%も上回るサプライズがありました。その結果を受けて相場はどのように動いたのでしょうか?同じく7月3日の記事で指標発表に絡めたドル円相場の分析を行いました。その結果レビューと指標発表時のプライスアクションをまとめておきます。

 

■:7月3日雇用統計指標発表レビュー

下の図は今回の発表を含む雇用統計指標のデータです。

7月雇用統計指標 予測214K、実績288K!

米国の予想外に強い経済にダウ工業平均は過去の最高値をクリアし17,000の大台を付けました。下チャート日足がキッチリと手前のダブルトップ抵抗帯を抜け強い上昇勢力に乗っていることが見て取れます。

ダウ工業平均日足チャート(TradingView)
ダウ工業平均日足チャート(TradingView)

ではドル円はどうなったでしょうか?下の図は指標発表後の1時間足チャートです。

ドル円7月指標発表後の1時間足
ドル円7月指標発表後の1時間足

101.90から102.20まで約30pipの上昇です。ローソクだけ眺めていると大きく見えますが、35%のサプライズで30pipというのは、いかにも寂しい感があります。

しかもロンドンのセッションが終わった後は値動きなしです。つまり投機筋が少しだけ買い戻した程度で終わってしまったということですね。

 

■:相場は行きたい方向の材料を探す

よく相場は「材料と関係なく動く」といいます。これはこれで間違っていません。ただより正確には「行きたい方向と一致する材料に反応する」というほうが現実に近いです。

相場がドルを売ろうとしている時に、それをサポートする「ドル売り」の材料が出れば、値段は大きくドルを売る方向に動かします。逆に相場が買おうとしている時に反対の「ドル売り」材料が出ても、中途半端な動きで、「行って来い」になったりすることが多いです。

参考記事:指標発表をトレードに活かす

http://www.cocosta.jp/?p=6287

最後に、7月1日に発表された指標と相場の値動きの関係をまとめておきます。

  • ドル円 — チャートはドル売り☓ドル買い材料=中途半端なプライスアクション
  • ダウ平均 — チャートはアップトレンド☓ドル買い材料=強い上昇プライスアクション

今回の指標発表前、ドル円は日足で下へのブレークを狙う動きを示していました。機関トレーダーは売り材料を待ち構えていたわけですが、思いっきりドル買いサプライズが出てしまったため仕方なく処分買いにまわり、一時的に相場が戻して終わってしまったということですね。

トレードは事前の準備と分析で勝負が決まります。指標が発表されてから右往左往していても、何もできません。

チャートを正しく分析し、こうした市場のクセを知っておくと、どのような指標で強い値動きが期待できるのか事前に頭の中で対策を立てておくことができますね。

 

“0”へのコメント(0)

  1. makma のコメント:

     今回の雇用統計はドル円の動き(ドル売り材料の後押しでテクニカルの下げが加速するか)のみ注目していました。結果はドル買いとぶつかって鈍い動き。

     しかし管理人様の記事から、仮にドル買い材料が出て(ドル円の期待が外れても)も、逆にそちらがテクニカル面では後押しとなるチャート(ダウ)もあるということを学びました。

     事前準備の分析段階でこの「視野の広さ」を取り入れることができれば、変なこだわりや過剰な期待を投影することなく意思決定しやすくなるのではないかと思いました。

     「好材料の場合 → Aペアに注目していく」
     「悪材料の場合 → Bペアに注目していく」

     といった具合です。

     大変勉強になります。ありがとうございました。

    • 管理人 のコメント:

      makmaさん
      過剰な期待やこだわりをを持たずに指標を迎えられるようになるということは、つまり十分な事前対策が出来ているということですね。
      素晴らしい気づきだと思います。コメントありがとうございます。

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