TradingView が突然止まった3日間と、作っちゃったので置いておく無料版の話

いつも使っているインジケーターが、ある朝いきなりエラーで止まっていたら、どうしますか?

9月23日、中銀ハンターの受講生の皆さんの画面で、まさにそれが起きました。チャートの上に出ていたのは「Permission denied」の文字。故障でも、コードのミスでもありません。

TradingView に表示された Permission denied のエラー
【図1:9月23日、チャートに出たエラー表示】中銀ハンター(CB Hunter Matrix)が、金利のデータを読めずに止まっています。インジケーターの名前の横に、赤い「!」が付いているのが目印です。

インジケーターは TradingView の上で動くもの。これまで、それが当たり前だと思っていました。ところが、その当たり前は、プラットフォーム側の都合ひとつで簡単に止まってしまうんですね。

今回は、その日から3日間で起きたことを書いてみます。受講生向けのボードを1日で作り、騒動が思わぬ形で片付き、最後に無料版を公開するまでの話です。

予告なしの有料化

9月23日、TradingView が、FRB 関連を含む米国の経済データを、有料のオプションに切り替えました。事前の予告は、ありませんでした。

TradingView の経済データ購読オプション
【図2:新しく用意された経済データの購読オプション】「Worldwide economic data」が月2ドル。これを追加しない限り、経済データを使うインジケーターは動かなくなりました。

困っていたのは、私たちだけではありません。TradingView の利用者が集まる海外の掲示板でも、その日のうちに不満の声が上がっていました。

Reddit の TradingView 板への投稿
【図3:海外の掲示板 Reddit に上がった投稿】タイトルは「無料だったデータが有料になった」。年間プランの契約期間中なのに、予告なく料金が発生したことへの不満が書かれています。

中銀ハンターは、FRB の資金量、金利差、ステーブルコインの発行量を読み込んで計算しています。FRB の資金量とは、FRB の総資産からリバースレポと財務省の口座を差し引いたもの。要するに、市場に回っているお金の量ですね。

このデータが読めなくなると、インジケーター全体が止まります。

有料プランの方は、月2ドル+税の購読を足せば元どおりです。私も実際に購読して、直ることを確かめました。一方で、無料プランの方はこの購読を追加できません。

受講生の皆さんには、その日のうちにお知らせを出しました。「TradingView に頼らないボードを準備中です。9月中のリリースを目指します」と。

はい、自分で締切を決めてしまいました。

本当に同じ答えが出るのか

やることは、シンプルです。中銀ハンターと同じ計算を、TradingView の外で毎日回せばいい。

使ったのは Google Apps Script。Google のスプレッドシートに付いている、小さな自動化の仕組みです。価格も FRB のデータも、ステーブルコインの発行量も、公開されている情報源から1時間ごとに自動で取りに行きます。

ただ、作ること自体より大事なことがあります。TradingView 版と、本当に同じ答えが出るかどうかです。

計算式を書き写しただけだと、どこかで1日ずれたり、データの単位が食い違ったりします。料理のレシピを見ながら作っても、火加減ひとつで味が変わるのと同じですね。

そこで、TradingView から金の日足データを書き出して、1本ずつ突き合わせました。

対象は、2022年6月から今年9月まで。この間に出た中速の新規シグナルは24回です。結果は、、、24回すべてが、TradingView と同じ日に出ていました。

正直、この3日間で一番ホッとした瞬間でした。

翌日には、受講生向けボードが完成

答えが合ったところで、受講生の皆さんが毎日見る画面を作りました。

受講生向け CB Hunter Board の画面
【図4:受講生向けの CB Hunter Board】13銘柄の判定を1画面にまとめています。上段の「今日の注目」には新しく点いたシグナルだけがカードで並び、下のヒートマップでは色の濃さでズレの大きさが分かります。

13銘柄×3つの流れを、ヒートマップ(色の濃さで大きさを表す表)で一覧にしています。3つの流れが同じ方向を向いた状態、つまり★コンフルエンスが出た銘柄も、ひと目で分かるようにしました。

毎朝13枚のチャートを開いて、マークを探して回る必要はありません。スマホで1画面開けば、確認は終わります。

9月30日の締切に対して、公開は9月24日。有料化の翌日でした。

そして、TradingView が撤回した

受講生の皆さんにボード公開のお知らせを送り、ひと息ついたところで、次のニュースが届きました。

TradingView が、経済データの有料化を撤回したんです。購読していた分は返金されるとのこと。

TradingView 公式アカウントによる撤回の告知
【図5:TradingView 公式アカウントからの告知】経済データは追加料金なしで使える状態に戻り、購入済みのパッケージは自動で返金されました。

ヤバい。ボードを作った理由が、きれいになくなってしまいました。

とはいえ、今回の件で分かったこともあります。インジケーターを1つのプラットフォームに預けきると、相手の都合ひとつで止まってしまう。これは、今回撤回されたからといって変わる話ではありません。

受講生向けボードは、このまま続けます。TradingView 版も、もちろんこれまでどおり使えます。チャートの上でじっくり見たい日は TradingView、朝さっと確認したい日はボード。道具が2本立てになったと考えれば、前より強くなりましたね。

ちなみに、動かし始めた翌朝には、ビットコインと金の判定だけが1日遅れていることにも気づきました。データの提供元がビットコインの前日の足を空っぽで返してきたり、金の夜間取引の値が前日の足に混ざったりしていたのが原因です。どちらも直して、TradingView と突き合わせた過去の値が変わらないことを確かめています。動かしてみないと分からないことは、やはりありますね。

作っちゃったので、無料版を置きます

さて、ここからが本題です。

せっかく作ったボードです。しまっておくのは、もったいない。そこで、同じ計算から画面だけを切り分けて、誰でも見られる無料版を作りました。

CB Hunter Free の画面(PC とスマホ)
【図6:CB Hunter Free】いま点いている低速シグナルがカードで並び、下の表で10銘柄の点灯状況と直近7日の推移が分かります。スマホでもそのまま見られます。

中身は、中銀ハンターの3段階(高速・中速・低速)のうち、いちばん慎重な「低速シグナル」です。低速は、お金の流れと値動きのズレがかなり大きくなったときにだけ点きます。そのぶん、点く回数は少なめです。

つまり、点いていない日は、焦って動かなくていい日でもあるんですね。

対象は、次の10銘柄です。

  • ビットコイン・イーサリアム
  • 金・銀・プラチナ
  • 豪ドル・カナダドル
  • S&P500・S&P100・日経225

判定は確定した日足で1日1回、価格は1時間ごとに自動で更新されます。登録も、TradingView のアカウントも要りません。

CB Hunter Free を開く

ブックマークしておけば、朝のコーヒーを淹れている間に、今日のお金の流れを確認できます。

低速が点く前の動きも、見たくなったら

無料版に出るのは、最後に点く低速シグナルだけです。

講座の受講生向けボードでは、その手前の高速・中速のシグナル、ユーロ・ポンド・円を加えた13銘柄、流れのズレを数字とメーターで追える画面をお使いいただけます。TradingView 用のインジケーターも、そのまま付いてきます。

中銀ハンター講座には、14日間の返金保証があります。まずは無料版で毎日の点灯を眺めてみて、もっと早い段階から追いたくなったら、講座の中身ものぞいてみてくださいね。

中銀ハンター講座の内容を見る

3日間で分かったこと

今回の騒動は、結果的に3日で片付きました。それでも、次のことは分かりました。

  • インジケーターは、1つのプラットフォームに預けきらないようにしよう
  • 作り直したら、まず本家と1本ずつ突き合わせよう
  • 作ったものは、しまわずに使ってもらおう

以上、参考になりましたら幸いです。

ココスタ 佐々木徹

CB Hunter Free は教育を目的とした情報提供で、投資助言ではありません。売買の判断は、ご自身の責任で行ってください。

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